正式名称は「ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法」。平成14年法律第105号。1990年代なかばより著しく増大したホームレス問題を背景に、ホームレスの自立支援およびホームレスとなることを防止するための支援等に関する施策を定めた法律。2002年(平成14)8月7日に公布、施行。当初10年の時限立法であったが、二度の改正により25年に延長された。
この法律で、ホームレスとは、都市公園、河川、道路、駅舎その他の施設をゆえなく起居の場所とし、日常生活を営んでいる者と定義されている。いわゆる路上生活者に限定されているが、具体的な施策としては、自立の意思があるホームレスに対する、就業・居住・医療・保健の確保と生活相談のほか、ホームレスとなるおそれのある者が多数存在する地域における同種の施策を含んでいる。また同時に公共用地の適正利用の確保にも触れられている。
この法律に基づき、国においては厚生労働省と国土交通省による全国調査を踏まえて、2003年にホームレスの自立支援等に関する基本方針が策定され、また、大都市自治体においては実施計画の策定がなされてきた。さらに、2006年には中間見直しとして国は実態調査を行い、これに基づいて2008年に新基本方針を策定している。このなかで、ネットカフェ等で寝泊まりする人々も「ホームレスになるおそれがある者」と判断して支援を行うことや、それぞれの事情に応じた総合的支援の必要が強調されているが、依然就労支援が中心で、住宅対策が希薄な点が問題視されている。
[岩田正美]
(中谷茂一 聖学院大学助教授 / 2008年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
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