効力期間が限定されている法律。限時法の観念がとくに問題とされるのは刑罰法規の場合で,効力期間の経過後も,期間中の違反行為を処罰するという特別の効果を肯定することができるとの議論がある(いわゆる限時法理論)。法律が廃止され失効すると,失効前の違反行為はもはや処罰できないのが原則であるが(刑法6条,刑事訴訟法337条2号),効力期間の満了があらかじめ明らかにされている限時法の場合は,失効の時期が近づくにつれ,処罰されなくなることを見越して違反が増えると想定されるからである。この考え方をさらに推し進めると,効力期間が明示されていなくても,およそ臨時的な性格の法規(臨時法ないし広義の限時法)の場合は,同様な解決をすべきだということになる。しかし,限時法理論は,明文なしに処罰の拡大を認めるものであること,前述の弊害を避けるためには,立法上,失効後も従前どおり処罰する旨の手当をすればたりることなどから,現在では支持を失っている。
執筆者:松尾 浩也
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一定の有効期間を定めて制定された法律。たとえば、「○年○月○日まで効力を有する」とか、「施行の日より2年間これを適用する」という形式で制定される。この種の法律につき、法律の失効後、有効期間中になされた行為の扱いが問題となる。この点につき、刑罰法規に関しては、その廃止により被告人は免訴の判決を受けることになっている(刑事訴訟法337条2号)。
ところが、刑罰法規の有効期間があらかじめ定められている場合、これを見越してその失効近くに犯罪が頻発するおそれがある。そこで、刑罰法規の実効性を確保するためには、有効期間中になされたあらゆる行為に対し、法規が失効後もこれを適用すべきである、という見解がある。しかし、その旨の明文がないのに、このような法運用を行うことには反対が強く、特別規定を設けるべきであるという見解も有力である。
[名和鐵郎]
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