改訂新版 世界大百科事典 「ボチョウジ」の意味・わかりやすい解説
ボチョウジ
Psychotria rubra (Lour.)Poiret
やや湿った常緑樹林の林床にはえるアカネ科の低木。乾かすと全体に赤みをおびる。中国では根を解毒・解熱剤とする。茎は高さ1~3mで無毛。葉は対生し,常緑で披針形から楕円形,長さ8~20cm。花は枝の先に集まってつき,花序は直径4~7cm,5~7月に多数の小さな花を咲かせる。花冠は白く直径6mm,5裂し,内側に白い毛が密にはえる。子房は下位,2室で各室に1個の胚珠が基生する。果実は球形,乾くと縦に10本近くの溝ができる。中国南部から東南アジアに広く分布し,日本では屋久島,種子島,琉球に知られ,リュウキュウアオキとも呼ばれる。
ボチョウジ属は低木あるいは小高木,ときに草本性植物で,世界の熱帯に約700種あり,分類のむずかしい群である。これら多数の種のなかには,リウマチ,赤痢,虫さされなどの薬として地方的に数種が利用される。日本の南部に分布するシラタマカズラP.serpens L.は白い実をつけ,茎から着生根を出して木の幹や岩をよじのぼる。
執筆者:福岡 誠行
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報