ボップ(その他表記)Franz Bopp

デジタル大辞泉 「ボップ」の意味・読み・例文・類語

ボップ(Franz Bopp)

[1791~1867]ドイツの言語学者。サンスクリット語ギリシャ語ラテン語ペルシア語・ゲルマン語の文法を比較し、印欧語比較文法基礎確立。著「印欧語比較文法」など。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「ボップ」の意味・読み・例文・類語

ボップ

  1. ( Franz Bopp フランツ━ ) ドイツの言語学者。印欧語比較文法の学問的基礎づけを行なった。著「印欧語比較文法」。(一七九一‐一八六七

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「ボップ」の意味・わかりやすい解説

ボップ
Franz Bopp
生没年:1791-1867

ドイツの言語学者。デンマークR.K.ラスクとともに,印欧語比較文法(インド・ヨーロッパ語比較言語学)の創設者といわれる。パリサンスクリット独学で習得し,1816年に著したギリシア語などとの比較による《サンスクリットの動詞活用組織について》(1816)によって創設まもないベルリン大学にK.W.vonフンボルトの助力で迎えられ,世界で初めて比較文法の講義をもち,ヨーロッパにおけるその後のこの学問の長い伝統の基をつくった。

 彼はその後,印欧諸語の《比較文法》3巻(1833-52)をはじめとして多くの研究を発表したが,それらは今日ではほとんど学問的な価値を失っている。サンスクリットを,すべてにおいて古いとみる立場からくる事実の大きな誤認と,あいまいな方法論による安易な解釈に満ちているからである。しかし,古い印欧語の動詞の人称語尾代名詞に由来するという解釈は,論証の精密さは比較にならないにしても,今日でも支持者を失っていない。
比較言語学
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ボップ」の意味・わかりやすい解説

ボップ
Bopp, Franz

[生]1791.9.14. マインツ
[没]1867.10.23. ベルリン
ドイツの言語学者。ベルリン大学の東洋文学・一般文献学教授 (1821~67) 。初めパリでサンスクリット語を研究し,1816年に『ギリシア語・ラテン語・ペルシア語・ゲルマン語と比較したサンスクリット語の活用体系について』 Über das Conjugationssystem der Sanskritsprache in Vergleichungmit jenen der griechischen,lateinischen,persischen und germanischen Sprachenを出版してインド=ヨーロッパ語族の親縁関係を確立した。 R.ラスクとともに,しばしば比較言語学の祖と呼ばれる。ほかに『サンスクリット語・アベスタ語・ギリシア語・ラテン語・リトアニア語古代スラブ語ゴート語・ドイツ語の比較文法』 Vergleichende Grammatik des Sanskrit,Zend,Griechischen,Lateinischen,Litauischen,Altslawischen,Gothischen und Deutschen (1833~52) がある。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ボップ」の意味・わかりやすい解説

ボップ
ぼっぷ
Franz Bopp
(1791―1867)

ドイツの言語学者。パリおよびロンドンでサンスクリット語を修め、1821年以降ベルリン大学教授。その初著『サンスクリット語の動詞活用組織とギリシア語、ラテン語、ペルシア語およびゲルマン語のそれとの比較について』(1816)によって印欧語比較文法の創始者と仰がれる。その主著『サンスクリット語、ゼンド語、アルメニア語、ギリシア語、ラテン語、リトアニア語、古スラブ語、ゴート語およびドイツ語の比較文法』3巻(1833~1852)はその後改訂を重ね、英・仏訳も出された。

[松本克己 2018年8月21日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のボップの言及

【インド学】より

…その後はロンドン,ケンブリッジ,エジンバラの各大学,その他欧米の主要な大学に開講され,19世紀から20世紀にかけてインド学は長足の進歩をとげた。1816年,シェジに師事したボップF.Bopp(1791‐1867)は,サンスクリットとヨーロッパの諸言語との親縁関係を証明し,それによって比較言語学が独立の学問として成立した。ヨーロッパにおけるインド研究は,ドイツのベートリンクOtto Böhtlingk(1815‐1904)とロートR.Roth(1821‐95)による膨大な《梵語辞典Sanskrit‐Wörterbuch》全7巻(1852‐75)として結実した。…

【インド学】より

…その後はロンドン,ケンブリッジ,エジンバラの各大学,その他欧米の主要な大学に開講され,19世紀から20世紀にかけてインド学は長足の進歩をとげた。1816年,シェジに師事したボップF.Bopp(1791‐1867)は,サンスクリットとヨーロッパの諸言語との親縁関係を証明し,それによって比較言語学が独立の学問として成立した。ヨーロッパにおけるインド研究は,ドイツのベートリンクOtto Böhtlingk(1815‐1904)とロートR.Roth(1821‐95)による膨大な《梵語辞典Sanskrit‐Wörterbuch》全7巻(1852‐75)として結実した。…

※「ボップ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、和歌山県串本町の民間発射場「スペースポート紀伊」から打ち上げる。同社は契約から打ち上げまでの期間で世界最短を目指すとし、将来的には...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android