日本大百科全書(ニッポニカ) 「クリスティーナ」の意味・わかりやすい解説
クリスティーナ
くりすてぃーな
Kristina
(1626―1689)
スウェーデン女王(在位1632~54)。グスタフ2世の娘。父の死後6歳で即位。18歳で親政するまで男子同様の教育を受け、7か国語を習得し、哲学や神学に深い関心をみせ、また乗馬、狩猟も好んだ。親政後、政治にはある程度の熱意を示したが、愛寵(あいちょう)者などに王室領を与えて財政危機に陥らせた。その反面、学芸を愛好して知識人を宮殿に招いたり、外国の高名な文化人と親交を結び、なかでも哲人デカルトを王宮に招聘(しょうへい)したのは有名な話である。許嫁(いいなずけ)の従兄(いとこ)との結婚を断り、また旧教に改宗する態度を表して統治権への熱意を失い、自ら退位した。その後正式に旧教徒となり、ローマで生涯の大半を過ごして同地で死去した。多数の哲学的至言を後世に伝えている。
[清原瑞彦]