ドイツ南西部のバーデンビュルテンベルク州の州都シュトゥットガルト(Stuttgart)北西約45kmに位置する、マウルブロン(Maulbronn)の町はずれにある同国最古の修道院。1147年にシトー派の修道院として建設された。当初ロマネスク様式で建設されたが、その後の増改築でゴシック様式を取り込んだ建物になった。マウルブロンは、この修道院のそばにできた村が起源である。中世の建築物の面影を色濃く残す修道院で、世界遺産になっている。礼拝堂などの宗教施設だけでなく、製パン所、家畜小屋、守衛小屋などの建物が残っている。この修道院は、16世紀半ばにはルター派の神学校になった。この学校で、天文学者のケプラー(Johannes Kepler、1571~1630年)やロマン派詩人・思想家のヘルダーリン(Johann Christian Friedrich Hölderlin、1770~1843年)やドイツの文豪として知られるヘッセ(Hermann Hesse、1877~1962年)などが学んでいる。ヘッセの小説『知と愛』はこの修道院を舞台にした小説で、『車輪の下』もマウルブロンを舞台にしている。