神学校(読み)シンガッコウ(その他表記)seminary

翻訳|seminary

デジタル大辞泉 「神学校」の意味・読み・例文・類語

しん‐がっこう〔‐ガクカウ〕【神学校】

キリスト教神学研究教育を行い、伝道者聖職者養成する学校

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精選版 日本国語大辞典 「神学校」の意味・読み・例文・類語

しんがっ‐こうシンガクカウ【神学校】

  1. 〘 名詞 〙 キリスト教神学を研究し、それを中心科目として教授して伝道者を養成する学校。
    1. [初出の実例]「此外尚ほ神学校あり」(出典:西洋学校軌範(1870)〈小幡甚三郎訳〉合衆国学校)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「神学校」の意味・わかりやすい解説

神学校
しんがっこう
seminary

キリスト教の神学を教授し、教会指導者(司祭牧師、神学教師など)を養成するための学校。最古の神学校は2世紀末ごろのアレクサンドリアなど古代都市におけるカテケシス学校(教理学校。洗礼準備のための教育施設)にまでさかのぼる。中世では修道院学校がその任を果たした。ヨーロッパの近代的大学の多くはここから発展したものである。現在は大学の神学部が神学校の機能を担っている場合も多い。これに対して、独立の神学校の多くは、プロテスタント新教)諸教派における信仰覚醒(かくせい)運動の結果として生まれた。17世紀ヨーロッパ大陸の敬虔(けいけん)主義運動、18世紀イギリスのメソジスト運動、同時期のアメリカのピューリタニズムにおける「大覚醒」運動(信仰復興運動)などである。その後、各教派の宣教活動に伴い、世界各地に神学校が設立された。

 日本では、イエズス会士・巡察使バリニャーノによって九州有馬(ありま)に設立されたセミナリオ(1580)が最初の神学校であるが、その詳細は不明である。明治以後は、ヘボン塾、バラ塾、ブラウン塾などプロテスタント宣教師が各地に主宰する英学塾で神学教育が行われた。やがてその指導・影響下に多くの神学校、キリスト教主義大学(クリスチャンスクール)神学部が生まれた。同志社神学校(現在は同志社大学神学部)、東京一致神学校(明治学院神学部、日本神学校を経て現在は東京神学大学)、仙台神学校(東北学院神学部、日本神学校を経て現在は東京神学大学)、関西(かんせい)学院神学部(現在は関西学院大学神学部)など、1909年(明治42)までに17の神学校・神学部(女子神学校は除く)が設立された。2000年(平成12)現在、神学校数は約120、神学校以外の一般大学の神学部、神学科、キリスト教学科の数は18である。

[金井新二]

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改訂新版 世界大百科事典 「神学校」の意味・わかりやすい解説

神学校 (しんがっこう)

キリスト教神学の専門学校。牧師(司祭)職の養成にあたるとともに,神学の研究を行う。教会の制度が整った古代にすでに神学教育が始まり,2世紀末ころに開設されたアレクサンドリアの神学校が最も古いものとされる。のちに教会・教派により,また要求される教育水準により,多種多様な形態の神学校を生むに至った。その主要な形態を挙げると,第1に,大学神学部がある。ヨーロッパの大学の最古の学部のひとつは神学部であり,国立大学で神学部を持つものが多く,学問的水準はきわめて高い。アメリカでは私立大学で神学部を持つものが多い。次に単科大学として存立する神学大学,またそれほど学問的ではないが実際的な教育を目ざす,各種学校令による神学校がある。本来,牧師職を志す者に限定された教育機関であるが,最近はその限定をせず,キリスト者でなくても学びうるところがある。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「神学校」の意味・わかりやすい解説

神学校
しんがっこう
seminarium

キリスト教において,司祭,牧師,教師などのいわゆる聖職者を養成するための学校。各教派によって構成は異なるが,哲学,神学,聖書学など聖職者に必要な学科とともに,徳育,信徒指導の面も強調される。最古のものは2世紀末のアレクサンドリア教校とされている。カトリックの神学校はトリエント公会議後制度が強化され,外的には最も厳格に組織されたものの一つであるが,その弊害も少くない。各派とも大学神学部とは密接な関連があるが,制度としては区別されて独立しているのが一般である。現在日本では,総合大学の神学部となっているもの,単科大学 (神学大学) となっているもの,各種学校となっているものなどがある。

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世界大百科事典(旧版)内の神学校の言及

【実践神学】より

…現実に即した考察をするために,社会学,心理学等の方法を援用することも多い。神学校教育において,将来の牧師(司祭)職に備えて,技術的訓練を行い,実際的な勧告を与えることもまた,実践神学の主要な任務である。そのような実際的教育や,それに関する著述は昔から行われてきたが,これを神学学科として整えたのは,F.E.D.シュライエルマハーであり,彼を実践神学の父と呼ぶ。…

※「神学校」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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