車輪の下(読み)シャリンノシタ(英語表記)Unterm Rad

デジタル大辞泉 「車輪の下」の意味・読み・例文・類語

しゃりんのした【車輪の下】

原題、〈ドイツUnterm Radヘルマン=ヘッセ小説。1906年刊。大人たちの無理解と過酷な教育制度に押しつぶされる少年ハンス悲劇を描いた自伝的作品

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精選版 日本国語大辞典 「車輪の下」の意味・読み・例文・類語

しゃりんのした【車輪の下】

  1. ( 原題[ドイツ語] Unterm Rad ) 長編小説ヘルマン=ヘッセ作。一九〇六年成立。必要以上の周囲虚栄心期待の中で、精神的肉体的にゆがめられた少年ハンスの運命を描く。作者の自伝的作品で、社会機構教育制度への批判表出

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「車輪の下」の意味・わかりやすい解説

車輪の下
しゃりんのした
Unterm Rad

ドイツの作家ヘルマン・ヘッセの長編小説。1906年刊。貧しい家庭の主人公ハンスは、父親教師督励難関の試験に合格して神学校に入るが、やがてノイローゼ退学、心身ともに傷つき、川で哀れな死を遂げる。この退学の件は作者自身の少年時代の体験に符合し、そのときから15年後の29歳でようやく客観視しえたことになり、当時の学校制度や、それと結び付く過酷な圧制への激しい告発が読み取れる。現代にも通じる教育問題を扱ったものとして、ドイツ文学なかでも、わが国の若い読者にもっとも親しまれてきた小説の一つ。

[藤井啓行]

『『車輪の下』(高橋健二訳・新潮文庫/実吉捷郎訳・岩波文庫/秋山英夫訳・講談社文庫)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「車輪の下」の意味・わかりやすい解説

車輪の下
しゃりんのした
Unterm Rad

ドイツの詩人,作家 H.ヘッセの小説。 1906年刊。感受性の強い少年ハンス・ギーベンラートは,詰込み主義の画一的な神学校教育に耐えられず反抗的になり家に帰されるが,そこでも適応する場を見出しえず,傷心をいだいて川におぼれ死ぬ。抒情味が濃いが,子供の心を踏みにじる教育のあり方を批判した自伝的発展小説。

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世界大百科事典(旧版)内の車輪の下の言及

【ヘッセ】より

…彼の出世作は《ペーター・カーメンツィント》(1904,邦訳名《青春彷徨》《郷愁》)で,魂のロマン的な憧憬とみずみずしい自然感情が自然主義文学に飽きてきた当時の読者に迎えられた。作家として独立し結婚(1904),新居をボーデン湖畔の小村ガイエンホーフェンに構えて創作に専念し,《車輪の下》(1906),《ゲルトルート》(1910,邦訳名《春の嵐》)刊行。34歳のときアジアへの旅に出,帰国後スイスのベルンに移住。…

※「車輪の下」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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