同調指示管、蛍光指示管ともいい、受信機が正しく受信電波と同調しているかを指示するためにつくられた電子管。1934年にアメリカのRCA社の研究所によって考案された。入力電圧の大小に応じて光る部分の面積が変わる表示管で、ターゲットに蛍光体が塗ってあり、陰極からの電子がターゲットに達すると光るようになっている。古くからラジオ受信機の同調指示に使われていたが、1967年ごろからカラーテレビジョンの同調指示にも用いられるようになった。光る部分は円形や角形で、円形のものはキャッツアイともいう。
マジックアイは二階形構造をしており、陰極を共通にして、上は同調を表示する表示部、下は直流増幅を行う三極管部からなっている。表示部はターゲットを陽極とし、ナイフ状の制御電極と陰極からできており、制御電極は三極管の陽極と直接、ターゲットは三極管の陽極と高抵抗(1メガオーム)を介して接続される。入力信号は三極管部のグリッドと陰極間に加えられるが、信号のない場合には三極管の陽極に電流が流れるために、ターゲットよりも制御電極の電位ははるかに負になる。この場合はナイフ状の制御電極の近くを通る電子は陽極に達しないため、この部分だけターゲットの蛍光体は発光せずに陰影を生じ、発光像は開いた暗部をもつ。しかし、負の入力信号が入ると陽極電流は減少し、制御電圧の電位があがり、制御電極の近くを通る電子もターゲットに達しやすくなるため、発光部は広がり暗部は閉じる。
このように三極管のグリッドと陰極に受信機の同調電圧を加えると、同調を指示できるが、このほか、温度、検流、水の純度などの検出器の表示をはじめ、チェッカーやトレーサーとして多くの用途をもっている。
[岩田倫典]
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