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電子管 でんしかん electron tube

翻訳|electron tube

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

電子管
でんしかん
electron tube

真空または低圧ガス中での電子の運動を利用した装置。電子流は熱電子,光電子,冷陰極放射などによって得られる。真空中での熱電子によるものが真空管,光電子を利用するものが光電管,低圧ガスを熱電子や冷陰極放射でイオン化し,そのイオン流を利用するものが放電管,電子流を細く絞ってビーム状にして利用するものが陰極線管 (ブラウン管) である。

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デジタル大辞泉の解説

でんし‐かん〔‐クワン〕【電子管】

真空管放電管陰極線管光電管などの総称。

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百科事典マイペディアの解説

電子管【でんしかん】

真空またはガス入りの気密容器内で陰極から放出される電子を電場または磁場により制御し各種の電気的な操作を行う装置。熱電子を利用する真空管,光電子を利用する光電管電子増倍管等,陰極線を利用するブラウン管撮像管記録管等,放電を利用する放電管等がある。
→関連項目陰極計数管二極管熱陰極放電灯陽極

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世界大百科事典 第2版の解説

でんしかん【電子管 electronic tube】

真空中の電子の性質を利用して電気信号の増幅や発生などを行う電子素子。基礎となる電子の性質や電子放出については19世紀末からいくつかの発見や研究があったが,最初の電子管はJ.A.フレミングが1904年に発明した二極管である。次いでL.デ・フォレストが06年三極管を発明したが,これは人類が初めて作った能動素子(増幅作用のある素子)であり,今世紀前半の無線・有線通信電子工学の大発展の直接の原因となった。

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大辞林 第三版の解説

でんしかん【電子管】

真空管・放電管など、電子の流れをつくって利用する装置の総称。

出典|三省堂
(C) Sanseido Co.,Ltd. 編者:松村明 編 発行者:株式会社 三省堂 ※ 書籍版『大辞林第三版』の図表・付録は収録させておりません。 ※ それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

電子管
でんしかん
electron tube

固体外に放出された電子を利用した電子部品で、ガラス、金属、セラミックスなどの高真空または低圧ガス容器内の電子流を利用する装置。真空管がおもなものであるが、そのほか陰極線管、放電管、マイクロ波管などの電子素子を総称する。
 電子管は20世紀前半ではエレクトロニクスの主要素子であったが、半導体デバイス(部品)の登場に伴い、能動素子としての地位や撮像管の地位を譲ってきている。しかし、生産額でみると集積回路を含めた半導体デバイスの1%にも満たないが、X線管、大電力、超高圧用のデバイスなどは独自の市場を保っている。
 電子管の日本の生産高は1996年(平成8)は7400億円であったが、2014年(平成26)には483億円まで減少した。その内訳(2014)は、マイクロ波管7万本、60億円、表示管133万本、47億円、X線管11万本、105億円、その他はPDP(プラズマディスプレー・パネル)モジュール、特殊電子管等となる。
 表示管を代表する蛍光表示管は、蛍光体の発光を電子照射方向から見る方式であるため高輝度で視認性に優れていることから、オーディオ機器、VTR、さらに、電子レンジや暖房器、自動車電装品用など用途は広い。
 マイクロ波管は通信、放送、レーダー用のほか、主力となる磁電管は家庭用の電子レンジ用に、特殊用途には産業用マイクロ波加熱装置、リニアックなどの加速装置、核融合のためのプラズマ加熱装置用などとして大出力のクライストロン、ジャイロトロンが開発されている。[岩田倫典]

電子管の種類

電子管の種類は多く、原理、構造、外形、用途などにより分類されているが、分類はかならずしも一様ではない。一般には次のように六つに分類される。
(1)整流、検波に用いる二極管と、低周波から高周波までの放送や通信に用いる格子制御を利用した送信管と受信管。これらは熱電子管とか格子制御管ともよばれ、格子制御管には三極管、四極管、五極管、ビーム出力管、複合管などがあり、外形によりST管、GT管、ミニアチュア管、サブミニアチュア管、エーコン管、ペンシル管、真空容器の材質によりガラス管、セラミック管、金属管などと分類されている。送信などに用いる大電力管は冷却方式により空冷管、強制空冷管、水冷管、蒸発冷却管などともいう。
(2)マイクロ波(周波数1ギガヘルツ以上)に利用する電子管。電極管の電圧により電子流の速度を変化させ、極間の電子走行時間の変動を利用するもので、電子走行時間管ともいう。クライストロン、磁電管、進行波管、後進波管などがある。
(3)画像や文字、数字を表示する表示用電子管。蛍光表示管は、伊勢電子工業(現、ノリタケ伊勢電子)が電卓の数値表示用に発明した(1967)もので、情報表示向けのディスプレーとして0.2ミリピッチの画素も開発されている。
(4)光子による電子現象の変化を利用し、電気信号として取り出す光電変換管。これには、光量を直接計量する光電管、光電子増倍管、テレビジョンカメラに利用されている撮像管、光像を直接増倍する映像増倍管、赤外線に高感度をもたせた暗視管がある。
(5)X線を発生するX線管。医用電子装置用のほか工業用がある。
(6)その他の電子管。ガスの電離を利用するもの。マイクロ波の導路管を切り換えるATR・TR管、ストロボ放電管、ネオン管、放射線を検出するガイガー‐ミュラー計数管、電子を加速するベータトロン、電離ガスを吸着するイオンポンプ、電離真空計などがある。[岩田倫典]

歴史

電子管の発達は無線技術の発展と軌を一つにする。イタリアのマルコーニが無線電信を発明した1896年ころには、火花放電を用いて電波を発生させ、ガラス管に金属粉を入れて電気信号によって橋絡させ、ハンマーによって元に戻すという幼稚なコヒラー(検波器)を用いていた。マルコーニ無線会社の顧問であるJ・A・フレミングが1904年にコヒラーにかわる二極管を発明、これを改良したものとして1907年にド・フォレストが二極管に肉焼き網(グリダリアン)に似た制御格子を入れて三極管を発明し、電子管による通信の時代を開いた。これらは最初はガス入りであったが、アメリカ電信電話会社のアーノルドHarold DeForest Arnold(1883―1933)とゼネラル・エレクトリック社のラングミュアにより1913年に真空管として改良され、プライオトロン(三極管)とケネトロン(高圧整流管)が開発された。さらに1920年には酸化物陰極がアーノルドにより発明され、安定性と信頼性は急速に向上した。構造の改良としては、ショットキーWalter Hans Schottky(1886―1976)の空間電荷格子四極管が1915年に、A・W・ハルの遮蔽(しゃへい)格子四極管が1926年に、O・J・ロッジによる五極管が1927年に、ビーム出力管が1936年につくられた。
 無線機に電話をつけるアイデアは、第一次世界大戦後の1920年にラジオ放送として花開き、1929年には100キロワットの大型送信管も生まれた。受信機は小型化し、電子管も1935年には金属製のものが、1938年にはGT管、1939年にはミニアチュア管、1941年にはサブミニアチュア管、1954年には小型セラミック管が開発され、相次いで小型で高出力のものがつくられるようになった。
 周波数をあげるくふうも続けられ、三極の電極を近づけたエーコン管が1933年に発明されたが、空間電荷制御型の在来の電子管ではマイクロ波の発生が困難であることがわかり、電子の走行時間を利用する各種マイクロ波管が登場した。マグネトロンは1921年ハルによって非分割マグネトロンとして考え出され、日本の岡部金治郎が1927年に二分割陽極のマグネトロンのマイクロ波発振に成功した。これは大出力のマイクロ波発振管として、とくにアメリカで注目を浴び、第二次世界大戦のレーダー用の電子管として急速に進歩した。電波機器のほか、電子レンジ用の電子管として広く使われている。
 クライストロンは1939年にバリアン兄弟が発明している。これは、電子走行時間中の電子を空胴共振器で速度変調し、得られた電子の集群作用を利用して信号を増幅する。二空胴クライストロンから第二次世界大戦中に反射型の小型のものが生まれ、レーダーの局部発振器、小型送受信管に利用された。1951年には多空胴クライストロンが開発されて大電力管のものが生まれ、数十メガワットのパルス出力、数十キロワット以上の連続出力のものも現れている。
 ジャイロトロンは電子のサイクロトロン共鳴を利用した新しい大出力ミリ波管で、170ギガヘルツ、1メガワットの連続波発振のものが核融合プラズマの加熱用として開発が進められている。
 進行波管は、遅延回路を形成するヘリカルコイル上のマイクロ波と、コイルの中央を走る電子ビームの相互作用による電子の速度変調と密度変調を利用したもので、イギリスの建築技師コンフナーRudolf Kompfner(1909―1977)が1944年に応召中発明している。周波数帯域が広く、動作が安定で、保証寿命が長いことから、マイクロ波通信網、レーダー網、宇宙通信などに広く用いられている。6ギガヘルツ帯で3キロワットのものが実用され、レーダー、とくに軍用としてピーク出力3メガワットの大電力進行波管も開発されている。
 ストラスブール大学のK・F・ブラウンは、電子線の諸現象を電気現象に利用することを提案、1897年に磁気偏向の装置をつくり、それが今日のブラウン管の基礎となった。翌1898年にエバートH. Ebertは静電偏向方式のものをつくったが、1932年ようやく測定用あるいは観測用のオシロスコープとして商品化された。その後、蛍光物質の改善によりレーダー用、テレビジョン用のブラウン管として発達した。カラーテレビの受像管は、蛍光膜自体に三原色をもたせて配置する方式のもので、J・L・ベアードが1944年に三原色でつくった三角錐(さんかくすい)形の蛍光体に三方向から電子ビームを照射する方式を考えたのが最初である。1951年にはシャドーマスク方式のカラーブラウン管がRCA社によって実現された。単電子銃の三電子ビーム方式のトリニトロンは、1968年に日本のソニーによって開発された。カラーブラウン管が角形になったのは、1958年NHKの開発による。また、薄形化については、白黒2インチのものを1982年にソニーが、カラー3インチのものを1985年にシャープが発売している。
 テレビカメラは、最初は機械式であったが、電子管式のアイコノスコープが1933年にツウォリキンによって発明され、イメージデセクタはファンスワースPhilo Taylor Farnsworth(1906―1971)によって開発された。最初のものは6000ルクスという照度を必要としたので、両者を組み合わせたイメージアイコノスコープが1934年に発明され、1946年には感度のよいイメージオルシコンがRCA社のA・ローズAlbert Rose(1910―1990)、ワイマーPaul K. Weimer(1914―2005)により開発された。これら光電子を検出するものにかわり、光導電膜の抵抗変化を利用するものとしてビジコンが1950年にRCA社で開発され、さらに高感度のプランビコンが1963年にフィリップス社で、サチコンがNHKと日立製作所によって1972年に開発された。いずれも小型で、単管カラー方式のものもつくられ、携帯用、家庭用として普及している。
 放電を利用した三極管のサイラトロンは1932年に発明された。それ以前、1925年にはグロー放電の定電圧特性を利用した定電圧放電管、また1949年には計数用のデカトロン(計数放電管)がつくられたが、現在は半導体デバイスにかえられている。第二次世界大戦中にはガイガー‐ミュラー計数管やレーダーの送受切換え用のATR管とTR管が生まれ、イリノイ大学で発明されたプラズマディスプレーも1990年代になって40インチ以上の大形ディスプレーとして実用化された。[岩田倫典]
『岩田倫典著『エレクトロニクスの新世代』(1982・工業調査会) ▽電子情報通信学会編『電子情報通信ハンドブック』(1988・オーム社) ▽森大伍編『電子部品年鑑1997』(1997・中日社) ▽経済産業省監修、電波新聞社編・刊『電子工業年鑑』各年版(2000年版までは通商産業省監修)』

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