日本大百科全書(ニッポニカ) 「マッケ」の意味・わかりやすい解説
マッケ
まっけ
August Macke
(1887―1914)
ドイツの画家。メシェーデに生まれる。1904~06年デュッセルドルフ美術学校に学ぶ。07年コリントに師事。07~08年パリに滞在して印象派およびゴーギャンの作品を知り、フォービスムに刺激を受ける。10年マルクと知り、ミュンヘンの新芸術家同盟に加わる。11年そこから派生した「青騎士」の運動に参加し、マルク、カンディンスキーと機関誌の編集に携わった。12年マルクとパリへ旅行、ドローネーを知って強い影響を受ける。天成の色彩家である彼の画面に結晶体を思わせる輝くフォルムが獲得され、緑陰に遊ぶ少女や湖畔を散歩する人々などの愛好のモチーフが、抽象とは一線を画する表現で描かれた。14年にはクレーとチュニス方面へ旅行、このときの水彩画連作は制作の最高潮を示している。第一次世界大戦に従軍し、シャンパーニュの前線で戦死を遂げた。代表作に『チュニス風景』(マンハイム芸術ホール)などがある。
[野村太郎]