ビニョーラ(読み)びにょーら(英語表記)Jacopo (Giacomo) Barrozi da Vignola

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ビニョーラ」の意味・わかりやすい解説

ビニョーラ
Vignola, Giacomo Barozzi da

[生]1507.10.1. ビニョーラ
[没]1573.7.7. ローマ
イタリアのマニエリスムの代表的建築家。初め,ボローニャで B.バセロッティに学んだと思われ,同地には彼の初期の作パラッツォ・ディ・バンキがある。 1554年ローマに出てから本格的活動に入り,まず教皇ユリウス3世の別荘として 52年に起工されたビラ・ジュリア (G.バザーリ,B.アンマナーティと協同) ですぐれた才能を示し,また,サンタンドレア・イン・ビア・フラミニア聖堂などを設計した。しかし代表作は,カプラローラのビラ・ファルネーゼ (1556頃から参画) ,およびローマのイル・ジェズ聖堂 (68~84,内部の設計,ファサードは G.ポルタ設計) である。前者は正面の大階段の巧みな構成や既存の五角形の平面を生かした構築的構成で,この期の代表的別荘建築の一つとなっており,後者は L.アルベルティの構想を継承しながら,さらにそれを発展させた統一ある空間構成に成功している。また,『建築の五つオーダーに関する規則』 Regola delli cinque ordini d'architettura (62) と『実用的透視図法二つの規則』 Le due regole della prospettiva practica (83) の著者としても知られている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ビニョーラ」の意味・わかりやすい解説

ビニョーラ
びにょーら
Jacopo (Giacomo) Barrozi da Vignola
(1507―1573)

イタリアの建築家。北部イタリアのモデナに近い農村ビニョーラに生まれる。ボローニャで絵画と建築を学び、1530年からローマに定住。教皇ユリウス3世の御用建築家となり、バザーリやアンマナーティと協力してビラ・ジュリア(1551~55)の造営にあたり、また若いほうのサンガッロとペルッツィが1520年代に起工し未完成のままであったビテルボ近郊カプラローラのビラ・ファルネーゼの建造を引き継いだ。これはブラマンテの影響をとどめるビニョーラの傑作である。教会堂建築では、ローマのサン・タンドレア聖堂(1554)が、方形のプランに楕円(だえん)形のクーポラを架した最初の事例で、バロック萌芽(ほうが)が明瞭(めいりょう)である。また彼の代表作と目されるイル・ジェズ聖堂(ローマ)の平面プランにはアルベルティやミケランジェロの影響をとどめるが、正面の外観は84年にジャコモ・デッラ・ポルタによって完成されている。

[濱谷勝也]

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