日本大百科全書(ニッポニカ) 「シンバル」の意味・わかりやすい解説
シンバル
しんばる
cymbal(s) 英語
Becken ドイツ語
cymbale(s) フランス語
piatto (piatti) イタリア語
皿形の金属製打楽器。現在一般に用いられるシンバルは、見かけは1枚の反った円盤だが、真鍮(しんちゅう)の長い針金を渦巻状に巻いたものを高温でプレスしてつくられている。中央部は盛り上がっており、中心には紐(ひも)などを通すための穴がある。
演奏法は、2枚を打ち合わせる「合わせシンバル(クラッシュ、フロワセ)」、スタンドに取り付けたり、紐で下げて桴(ばち)で打つ「サスペンデッド・シンバル」が主で、シンバルの大きさや厚さによって音は大きく変わる。合わせシンバルでは、直径30~50センチメートル程度のものが使われる。ほかに、2枚を近づけて持ち、縁どうしを細かく打ち付けてロールの効果を出す「トゥー・プレート・ロール」や、スタンドに2枚の小さめのシンバルを取り付け、ペダルを使って打ち合わせたり、桴で打ったりする「ハイハット」(ドラム・セットの一部として使われる)などの変種もある。また、明確な音高感のある小さな一種のサスペンデッド・シンバルである「古代シンバル(サンバル・アンティーク)」など、形の違うものもいくつかある。
古代ギリシア・ローマには、現在のものに近い形のシンバルがすでにあった。ヨーロッパには13世紀までには伝えられており、17世紀には管弦楽にも用いられた。また、東アジアにも伝えられ、中国製のシンバルは、トルコ製法のものとともに、吹奏楽、管弦楽、ジャズなどの欧米系音楽にも用いられている。
[前川陽郁]