マラバル海岸(読み)マラバルカイガン(その他表記)Malabar Coast

デジタル大辞泉 「マラバル海岸」の意味・読み・例文・類語

マラバル‐かいがん【マラバル海岸】

Malabar coast》インド南西部、アラビア海に面する海岸。パナジコージコードコーチトリバンドラムなどの港湾都市がある。ココナツ・コショウ・カルダモンなどの産地

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精選版 日本国語大辞典 「マラバル海岸」の意味・読み・例文・類語

マラバル‐かいがん【マラバル海岸】

  1. ( マラバルはMalabar ) インド半島南西部のアラビア海に面する海岸。西ガーツ山脈とアラビア海にはさまれた細長い平野の前面に多くの潟湖を抱えた海岸砂丘が連なり、ココヤシが栽培され、コショウ・ゴム・コーヒーなどの特産物がある。

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改訂新版 世界大百科事典 「マラバル海岸」の意味・わかりやすい解説

マラバル海岸 (マラバルかいがん)
Malabar Coast

広義にはインド半島の西海岸全域,狭義にはケーララ州の海岸のみを指すが,ふつうパンジム以南のカルナータカ,ケーララ両州にまたがる約950kmの海岸をいうことが多い。西ガーツ山脈とアラビア海に挟まれた幅10~80kmの細長い海岸平野で,大型の浜堤や砂丘ラグーンが並び,その背後に厚いラテライト性皮殻に覆われた標高150m以下の丘陵と海岸段丘が横たわる。マンガロール以南は単調な海岸線を示し,複雑な海岸線が続くパンジムやムンバイー(旧ボンベイ)付近とはおおいに異なる。西ガーツ山脈は1000~1500mの高度で,ほぼ連続的にマラバル海岸を縁どり,デカン高原への交通障壁となっているだけでなく,アラビア海から吹き込む南西モンスーンをさえぎって大量の雨をこの地に降らす。年降水量はマンガロールで3100mm,コーチンで2400mm,南端のコモリン岬で1000mm,その80%は6~9月の南西モンスーン期に集中する。雨季は逆に南方ほど長く,コモリン岬では北東モンスーンの影響もあって8~9ヵ月となる。高湿多雨の気候ゆえに樹林がよく茂り,ラグーンの岸辺や低地にココヤシ林の樹海が続き,また河谷はすみずみまで水田に利用されている。

 この地方は古くから地理的位置を利用してアラビアや東南アジアと交易していた。近世以後,ヨーロッパ人との通商が活発となり,西ガーツとその南に続くニールギリ,カルダモン両丘陵に産する香料,コーヒー,茶などを輸出した。そのため外来文化の影響が強く,キリスト教徒の比率や識字率はインドのほかの地方よりかなり高いし,進取の気性にも富んでいる。住民はドラビダ系を主とし,ケーララ州ではマラヤーラム語,カルナータカ州ではカンナダ語を用いる。カリカット,コーチン,パンジムは古くからの貿易港として有名であるが,近年マンガロールその他の港湾整備も進捗している。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「マラバル海岸」の意味・わかりやすい解説

マラバル海岸
まらばるかいがん
Malabar coast

インド半島南部の西海岸。北はゴアから南はコモリン岬まで950キロメートルにわたって続く。背後を西ガーツ山脈の急崖(きゅうがい)によって限られ、幅は最大でも60キロメートルほどしかない。内陸部にはラテライト皮殻をもつ海岸段丘が発達し、海岸部には砂丘と潟湖(せきこ)が多い。冬季に短い乾期をもつものの、南東貿易風がもたらす降水量は年2000~4000ミリメートルにも及び、高温多湿である。そのため丘陵地や砂丘におけるココナッツ類の栽培が盛んで、こしょう、カルダモンなどの特産品もある。主要都市として、パナジーをはじめ、マンガルール(マンガロール)、コジコーデ、コーチ(コーチン)、クイロンティルバナンタプラム(トリバンドラム)などがある。

[貞方 昇]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マラバル海岸」の意味・わかりやすい解説

マラバル海岸
マラバルかいがん
Malabar Coast

インド南西部,ゴア州以南,コモリン岬までのアラビア海にのぞむ海岸。海岸線は単調で,南西モンスーンが打上げた砂丘が続く。海岸線に沿ってウェスタンガーツ山脈が迫るため,沿岸平野は狭長だが,高温多雨で,沿岸にはココヤシが茂り,潟湖周辺には水田が広がる。山脈によって内陸からは孤立する傾向が強いが,紀元前から良港が開かれ,東西貿易の拠点,南インドの香辛料の積出港として,ギリシア,ローマ,アラブ,中国の商人が訪れた。 16世紀からは,ポルトガル,オランダ,イギリス,フランスが,それぞれ商館を設けて支配権を争った。漁業も盛んなほか,チタン鉄鉱,モナズ石,ジルコンなどの砂鉱床の開発が進められている。

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百科事典マイペディア 「マラバル海岸」の意味・わかりやすい解説

マラバル海岸【マラバルかいがん】

インド南西部,ゴアからコモリン岬までの約950kmのアラビア海沿岸。西ガーツ山脈に沿い,夏の南西季節風で多雨。米,ゴム,香料,コプラを主産。漁業も行われる。主要港はカリカット,コーチン,マンガロール,ゴア。古くから東南アジアやアラブ世界と交易。

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