マラバル海岸(読み)まらばるかいがん(英語表記)Malabar coast

日本大百科全書(ニッポニカ) 「マラバル海岸」の意味・わかりやすい解説

マラバル海岸
まらばるかいがん
Malabar coast

インド半島南部の西海岸。北はゴアから南はコモリン岬まで950キロメートルにわたって続く。背後西ガーツ山脈の急崖(きゅうがい)によって限られ、幅は最大でも60キロメートルほどしかない。内陸部にはラテライト皮殻をもつ海岸段丘が発達し、海岸部には砂丘潟湖(せきこ)が多い。冬季に短い乾期をもつものの、南東貿易風がもたらす降水量は年2000~4000ミリメートルにも及び、高温多湿である。そのため丘陵地や砂丘におけるココナッツ類の栽培が盛んで、こしょう、カルダモンなどの特産品もある。主要都市として、パナジーをはじめ、マンガルール(マンガロール)、コジコーデ、コーチ(コーチン)、クイロンティルバナンタプラムトリバンドラム)などがある。

[貞方 昇]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マラバル海岸」の意味・わかりやすい解説

マラバル海岸
マラバルかいがん
Malabar Coast

インド南西部,ゴア州以南,コモリン岬までのアラビア海にのぞむ海岸。海岸線は単調で,南西モンスーンが打上げた砂丘が続く。海岸線に沿ってウェスタンガーツ山脈が迫るため,沿岸平野は狭長だが,高温多雨で,沿岸にはココヤシが茂り,潟湖周辺には水田が広がる。山脈によって内陸からは孤立する傾向が強いが,紀元前から良港が開かれ,東西貿易の拠点,南インドの香辛料積出港として,ギリシア,ローマ,アラブ,中国の商人が訪れた。 16世紀からは,ポルトガル,オランダ,イギリス,フランスが,それぞれ商館を設けて支配権を争った。漁業も盛んなほか,チタン鉄鉱,モナズ石ジルコンなどの砂鉱床の開発が進められている。

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