マルセル石鹸(読み)マルセルセッケン(その他表記)Marseille soap

デジタル大辞泉 「マルセル石鹸」の意味・読み・例文・類語

マルセル‐せっけん〔‐セキケン〕【マルセル石×鹸】

《「マルセル」はマルセイユから》オリーブ油などの植物油原料とする中性石鹸もとマルセイユ港から輸出したオリーブ油で作られた。水に溶けやすく、生糸精練、絹・毛織物の洗濯などに用いる。絹練り石鹸。

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精選版 日本国語大辞典 「マルセル石鹸」の意味・読み・例文・類語

マルセル‐せっけん‥セキケン【マルセル石鹸】

  1. 〘 名詞 〙 ( マルセルは Marseille から ) もとはフランスのマルセイユ地方産の、オリーブ油を原料とした石鹸。転じて、オリーブ油を原料とする石鹸の一般名となり、さらに、石鹸純度の高い、溶解度の大きい工業用石鹸まで含んでいう。主として繊維用に用いる。

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改訂新版 世界大百科事典 「マルセル石鹸」の意味・わかりやすい解説

マルセルセッケン(石鹼) (マルセルせっけん)
Marseille soap

マルセイユ地方では良質のオリーブ油が大量に産出され,これを原料としてセッケンの製造が行われたので,このセッケンを日本ではマルセルセッケン(正しくはマルセイユセッケン)と呼んだ。原料が良質の脂肪酸であることに加え,油脂のケン化,塩析を3回以上繰り返して遊離アルカリや中性脂肪残分がないようにケン化し,かつ十分熟成させることによって得られる良質のセッケンである。充てん(塡)物を含まず,溶解性に富む。現在では油脂原料としてオリーブ油を主成分とせず,代りに綿実油ラッカセイ油牛脂なども多量に使用するようになったため,マルセルセッケンの名称は充てん物を含まない,良質の液脂セッケンに対して用いられている。絹精練,羊毛洗浄などの工業用にも使用される。
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百科事典マイペディア 「マルセル石鹸」の意味・わかりやすい解説

マルセルセッケン(石鹸)【マルセルせっけん】

本来はオリーブ油を主原料とするセッケンで,フランスのマルセイユで生産されたのでこの名がある。現在ではオリーブ油と同様にオレイン酸を主成分とする植物油(ラッカセイ油,ナタネ油,ヤシ油,綿実油)を主原料とする。遊離アルカリや中性脂肪の残存量がきわめて少なく,また充填(じゅうてん)剤を含まないことを特色とする。絹の精練,羊毛の洗浄など繊維工業用にも使用される。

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世界大百科事典(旧版)内のマルセル石鹸の言及

【マルセイユ】より


[産業]
 マルセイユの工業は,植民地をはじめ海外からの輸入資源を加工する工業として発達してきた。マルセイユセッケン(日本では誤ってマルセルセッケンと呼ばれる)で有名なセッケン製造や食料油製造は,アジア・アフリカの熱帯産植物性原料を利用するものであったが,合成洗剤の出現や北部フランスに新鋭工場が立地し衰退した。コルベールの時代からアンティル諸島のサトウキビを精製してきた砂糖工業は今日も継承され,サン・ルイにある工場でレユニオン,マダガスカルを中心としたインド洋諸国からの原料を精製している。…

※「マルセル石鹸」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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