マーシュ(読み)まーしゅ(英語表記)Othniel Charles Marsh

日本大百科全書(ニッポニカ) 「マーシュ」の意味・わかりやすい解説

マーシュ
まーしゅ
Othniel Charles Marsh
(1831―1899)

アメリカの古脊椎(せきつい)動物学者。ニューヨークで生まれる。エール大学を卒業し、ベルリン大学、ブレスラウ大学などに留学したのち、エール大学教授(1866)、ピーボディ博物館地質学・古生物学部長を務めた。アメリカ合衆国西部のジュラ系白亜系に脊椎動物化石発掘のための探検隊を組み、競争相手のコープ同様に、化石収集に努力し、収集品の研究にも業績をあげた。とくに恐竜類・有歯鳥類についての研究が著名である。資金はすべて叔父にあたる富豪の慈善家ピーボディGeorge Peabody(1795―1869)による。合衆国地質調査所所員、国立科学アカデミー会長なども務めた。

[小畠郁生]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マーシュ」の意味・わかりやすい解説

マーシュ
Marsh, Othniel Charles

[生]1831.10.29. ニューヨーク,ロックポート
[没]1899.3.18. ニューヘーブン
アメリカの古生物学者。エール大学教授 (1866~99) 。 1870年以降,幾度か探検隊を組織してアメリカ各地を調査。 71年には鳥の祖先とみられる爬虫類プテロダクティルスの化石を発見。アメリカの恐竜の発見とその復元は,彼とその親友で,のちに敵対者となった E.コープとに負うところが大きい。 82年,アメリカ地質調査所に古脊椎動物学部門の主任として参加したことから,コープとの関係が悪化。スミソニアン・インスティテューションの古脊椎動物部は 87年に彼が名誉管理者となってから充実したものとなり,1903年に地質学部から独立した。またデスモスチルス属は彼が創設した (88) 。 1000種をこえる化石脊椎動物の発見者であり,少くとも 500種はこえる化石の記録を残した。特に有歯鳥類や恐竜に関する研究は名高い。

マーシュ
Marsh, George Perkins

[生]1801.3.15. バーモント,ウッドストック
[没]1882.7.23. フィレンツェ東郊バロンブロザ
アメリカ合衆国の外交官,言語学者,地理学者。 1861年,アメリカ合衆国の最初の駐イタリア大使。世界各地における長年観察に基づく彼の著作は,人間の役割を重視する近代的地理学観の先駆をなすものとして最近,再評価されている。主著に『古スカンジナビア語,アイスランド語文法』A Compendious Grammar of the Old Northern or Icelandic Language (1838) ,『人間と自然』 Man and Nature (64) ,『人間活動によって変えられた大地』 The Earth as Modified by Human Action (74) などがある。

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