ベーツ(読み)べーつ(英語表記)Nicolaas Beets

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ベーツ」の意味・わかりやすい解説

ベーツ
Bates, H.W.

[生]1825.2.8. レスター
[没]1892.2.16. ロンドン
イギリスの博物学者,探検家。フルネーム Henry Walter Bates。1861年に昆虫擬態自然選択の作用であることを発表し,チャールズ・ロバート・ダーウィン進化論を全面的に支持した。1844年,イギリスで教員をしていたアルフレッド・ラッセル・ウォレスと知り合い,昆虫学の世界に導いた。そのウォレスに,商売のための標本採集と,種の起源の研究に役立つデータ収集を目的としたアマゾン川流域への旅行を提案され,1848年5月28日,ベーツとウォレスはアマゾン川河口付近のパラ州ベレンに到着した。ウォレスは 1852年にイギリスに帰国したが,ベーツは 11年間滞在してアマゾン川流域を探検し,昆虫を中心に約 1万4712種(うち 8000種が未知種)を採集した。1859年帰国。1861年に有名な論文 "Contributions to an Insect Fauna of the Amazon Valley"を発表した。1864年,王立地理学協会事務次長に任命され,終生その職にあった。『アマゾン河の博物学者』The Naturalist on the River Amazons(1863,全2巻)ほか著書多数。

ベーツ
Bates, Edward

[生]1793.9.4. グーチランド
[没]1869.3.25. セントルイス
アメリカの法律家。ミズーリ准州で弁護士をしていたが,1821年ミズーリが合衆国に加入してのち,26年下院議員に選出された。保守主義者ではあるが,自己所有の奴隷を解放した南部人として有名である。 30~34年,ミズーリ州議会の議員。 56年ホイッグ党党首となったが,新たに結成された共和党と同調するようになった。 60年,シカゴで行われた共和党全国大会では大統領候補として 48票を獲得したが,リンカーン敗北。リンカーン大統領により司法長官に任命されたが,リンカーンの軍事政策にしばしば異議を唱えた。リンカーン政権の一員としてはさほど目立った存在ではなく,64年政界を退き,セントルイスで弁護士となった。

ベーツ
Bates, Herbert Ernest

[生]1905.5.16. ラッシュデン
[没]1974.1.29. カンタベリー
イギリスの作家田園生活をラブレー的なユーモアで描いた短編集『サイラスおじさん』 My Uncle Silas (1939) ,イギリス空軍を扱った軍隊小説『世界で最も偉大な人々』 The Greatest People in the World (42) ,短編集『ジュリアン大佐』 Colonel Julian (51) ,農家ラーキン家を描く小説『五月のかわいいつぼみ』 The Darling Buds of May (58) など。

ベーツ
Beets, Nicolaas

[生]1814.9.13. ノルトホラント,ハールレム
[没]1903.3.13. ユトレヒト
オランダの作家。神学を修め,牧師を経てユトレヒト大学神学教授 (1875~84) 。初めイギリス,フランスロマン主義に共鳴し,特にバイロンに傾倒したが,のちその影響を脱し,実生活を写実的に描くようになった。 Hildebrandの筆名で発表した短編集『暗箱』 Camera obscura (39) は,小市民の生活をユーモアを交えながら写実的に描いた傑作。

ベーツ
Bates, Katharine Lee

[生]1859.8.12. マサチューセッツ,ファルマス
[没]1929.3.28. マサチューセッツ,ウェルズリー
アメリカの女流詩人。ウェルズリー・カレッジの英文学教授を長くつとめ,かたわら詩集や児童向けの本を多く著わした。特に愛国的な詩『美しきアメリカ』 America the Beautiful (1895) で有名。ほかに旅行記や英米文学関係の学術書もある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ベーツ」の意味・わかりやすい解説

ベーツ
べーつ
Nicolaas Beets
(1814―1903)

オランダの小説家。ライデン大学で神学を修め、牧師となる。のちにユトレヒト大学の神学教授。学生時代には文学、とくにバイロンに熱中、当時詩人として名声を博したが、その詩風は自己批判、自我の抑制に希薄である。ヒルデブラントの筆名で発表した短編集『カメラ・オブスキュラ(暗箱)』(1839)は、19世紀の典型的オランダ市民の生活を明快なタッチでユーモラスに描いた傑作。

[近藤紀子]

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