ミクリ(読み)みくり

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ミクリ」の意味・わかりやすい解説

ミクリ
みくり / 実栗
[学] Sparganium erectum L.

ミクリ科(APG分類:ガマ科)の多年生水草。果実が大きく、地下部が塊茎状になるものをオオミクリともいう。根茎は横にはい、走出枝を出す。茎は高さ0.5~1メートル、葉は直立して茎より長く、ともに水面を抜き出る。6~8月、よく分枝した枝の上方に雄性の頭花を数個から十数個つけ、下方に雌性の頭花を1~3個つける。頭花はともに柄はなく、雄花は3、4枚の花被片(かひへん)と3本の雄しべ雌花は3枚の花被片と1本の雌しべがある。柱頭は細く糸状で、長さ3~6ミリメートルに及ぶ。成熟した頭花は径1.5~2センチメートル。果実は角張った卵形で、長さ6~9ミリメートル、果皮は木質化して堅い。浅い池沼や川に生え、北海道から九州、およびアジア、ヨーロッパ、北アフリカの温帯に分布する。名は、集合果をクリのいがに例えたもの。

 ミクリ属は、花が単性で小さく、密生すること、種子に粉状の胚乳(はいにゅう)があることなどから、ガマ科に近縁とみられる。

[清水建美 2019年6月18日]

 APG分類ではガマ科とされる。

[編集部 2019年6月18日]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ミクリ」の意味・わかりやすい解説

ミクリ(実栗)
ミクリ
Sparganium stoloniferum; bur reed

ミクリ科の多年草。日本全土,アジア,ヨーロッパ,北アフリカに広く分布する。池や沼,溝などのやや浅い水中に生える。茎は直立し,高さは 50~100cm,全体はやや軟らかく毛はない。葉は茎より長く,水面に抜き出て立ち,線形鈍頭,下面には稜が1本ある。6~8月頃,上部葉腋から枝を出し,花穂のつく枝には包状葉がある。花は単性で球状の頭花をつくり,雄花序は多数あって白色,枝の上方につく。雌花序は約5個で枝の下方につき,緑色である。熟すると緑色球形の集合果となり突起が多い。核果には稜があり先はとがる。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報