日本大百科全書(ニッポニカ) 「ミナミアナゴ」の意味・わかりやすい解説
ミナミアナゴ
みなみあなご / 南穴子
blackedged conger
[学] Japonoconger sivicolus
硬骨魚綱ウナギ目アナゴ科クロアナゴ亜科に属する海水魚。千葉県以南の太平洋沿岸、沖縄舟状海盆(しゅうじょうかいぼん)（トラフ）、台湾南部の海域に分布する。体は細長く、伸長し、後半部で側扁(そくへん)する。尾端はとがる。肛門(こうもん)は体のおよそ前3分の1に開く。頭は小さく、全長のおよそ8分の1。吻(ふん)は丸くて、吻端は口よりわずかに前方へ突出する。前鼻孔(ぜんびこう)は吻端近くの側面に開き、管状。後鼻孔は目の中央水平線上にあり、目のわずかに前方に位置し、鼻管はない。口が大きく、上顎(じょうがく)の後端は目の後縁下に達する。上唇の縁辺は上方へ反転する。上顎先端は下顎先端より突出し、口を閉じるとほとんどの前上顎骨歯が露出する。主上顎骨と下顎の歯は小円錐(えんすい)状で、前部で4列、後部で1列に並ぶ。下顎の縫合部で広い歯帯になる。前上顎骨歯は一つの歯群となり、主上顎骨歯や鋤骨歯(じょこつし)（頭蓋(とうがい)床の最前端の骨にある歯）と接しない。鋤骨には長い1群の歯帯があり、前端で主上顎骨歯と接する。肛門前の側線孔数は38～40。頭部背面と吻部に乳頭状の突起がある。舌の表面にも乳頭状突起がある。背びれは胸びれの基底上方より前方から、臀(しり)びれは肛門の直後から始まり、両者は尾端で尾びれとつながる。背びれと臀びれの鰭条(きじょう)に分節がある。体は一様に暗褐色。全長は約60センチメートルに達する。水深300～535メートルの砂泥底にすみ、底引網で漁獲される。
［尼岡邦夫 2019年11月20日］
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