ムカシヨモギ(読み)むかしよもぎ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ムカシヨモギ」の意味・わかりやすい解説

ムカシヨモギ
むかしよもぎ / 昔蓬
[学] Erigeron acris L. var. kamtschaticus (DC.) Herd.

キク科(APG分類:キク科)の越年草。茎は高さ30~60センチメートル。葉は倒披針(とうひしん)形から長披針形。9~10月、緩い散房状または円錐(えんすい)花序をつくり、頭花を多数つける。頭花は雌花雄花とからなるが、雌花に二型がある。一つは細い舌状で、他の一つは細い筒状である。つまり、頭花が三形の小花からなることが特徴である。全体が帰化植物であるヒメムカシヨモギの小さな個体によく似る。中部地方以北の本州から極東アジアに広く分布する。基本種エゾムカシヨモギは頭花は少なく、頭花に粗い白毛がある。

[小山博滋 2022年4月19日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ムカシヨモギ」の意味・わかりやすい解説

ムカシヨモギ(昔蓬)
ムカシヨモギ
Erigeron acris var. kamtschaticus

キク科の多年草で,ヤナギヨモギともいう。本州中部から北海道,サハリン千島カムチャツカにかけての温帯から寒帯に分布する。山地の乾燥した草地や谷川沿いの砂地に生える。茎は多数分枝し高さ 60cmほどになり,下部は赤紫色を帯び,軟毛を生じることがある。葉は3~6cmの細長い披針形でまばらに鋸歯があり,縁に毛をもつものもある。秋,各枝先に白色の頭状花を1つずつつける。総包片は線状披針形で,粉状の細毛をもつ。ごく近縁のものに本州や四国にみられるホソバムカシヨモギ E. acris var. linea-rifoliusおよびアジア,ヨーロッパの温帯から寒帯に分布するエゾムカシヨモギ E. acris var. acrisがある。

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世界大百科事典(旧版)内のムカシヨモギの言及

【ヤンバルヒゴタイ】より

…冠毛は白色,2列性で,内側のは長さ4~5mm,外側のは短く,1~2mm。全草に灰白色の毛があり,ムカシヨモギErigeron acerを思い出させるところから,花の色を加えたムラサキムカシヨモギの別名がある。 この仲間ショウジョウハグマ属Vernoniaは熱帯に広く分布し,およそ1000種からなる大きな植物群である。…

※「ムカシヨモギ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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