ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ムセベニ」の意味・わかりやすい解説
ムセベニ
Museveni, Yoweri Kaguta
ウガンダの政治家。大統領(在任 1986~ )。牛飼いの息子として生まれ,ミッションスクールに通った。タンザニアのダルエスサラーム大学で政治学と経済学を学び,1970年に学士号取得。その間にアフリカ解放運動に加わる左翼学生グループの議長となった。1971年,イディ・アミンがウガンダの政権を握るとタンザニアに亡命し,救国戦線を結成,1979年のアミン政権打倒の一翼を担った。その後,国民抵抗運動 NRMを設立。1986年にミルトン・オボテに代わって大統領に就任。1996年に行なわれた大統領選挙で再選され,続いて実施された議会選挙ではムセベニ支持派が国会の主導権を勝ちとった。2001年と,憲法改正により大統領任期制限が撤廃された翌年の 2006年にも再選された。大統領として国の再建に尽力し,政治の安定と経済成長,インフラストラクチャーの改善を実現。資本主義改革を断行し,報道の自由を支持した。複数政党制民主主義については当初は拒絶したが,2005年の国民投票で圧倒的多数で支持されるとこの結果を是認し,翌 2006年に,1980年以来となる複数政党制選挙が実施された。エイズ対策にも取り組み,ウガンダはアフリカ諸国のなかでエイズの抑制に成功した数少ない国となった。外交面では,隣国ザイール(→コンゴ民主共和国)で 1997年にモブツ・セセ・セコ政権を倒したローラン・カビラや,ルワンダ政府と争う亡命ツチ人勢力,スーダンのイスラム原理主義政権に抵抗する反政府グループなど,他のアフリカ諸国の反政府勢力をたびたび支援し,批判を浴びた。
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