日本大百科全書(ニッポニカ) 「カビラ」の意味・わかりやすい解説
カビラ
かびら
Laurent Désiré Kabila
(1939―2001)
コンゴ民主共和国(旧ザイール)の政治家。カタンガ州に生まれる。1960年代の中ごろから、ザイール東部で反体制運動に参加した。チェ・ゲバラの指導を得て蜂起(ほうき)を試みたが失敗に終わり、ルワンダ、タンザニアなど近隣諸国を転々とする。1996年10月、隣国ルワンダの内乱の余波でザイール東部に生じた混乱を契機に、反政府勢力を結集してコンゴ・ザイール解放民主勢力連合(AFDL)を結成した。自身が議長の席について軍事的指導を行ったが、戦力の中心はルワンダからザイールに移住していたバニャムレンゲ人を核にしていた。ザイールにおいて32年間の長期間続いたモブツ独裁政権の打倒を宣言し、ゴマやキサンガニなど国内各地の主要都市を急速に制圧して、1997年5月に首都キンシャサの政府軍を陥落させた。ただちに暫定の新政権を樹立し、みずから国家指導者の地位に就任し(のち大統領に就任)、まず国名をコンゴ民主共和国に変更した。1998年8月首都キンシャサで、カラハ外相らを支持する反政府勢力と武力衝突、内戦が勃発(ぼっぱつ)した。カビラ大統領は首都攻防戦での勝利を宣言したが、反政府勢力はコンゴ川に面した中部の都市キサンガニを制圧、アンゴラ、ウガンダなど周辺国を巻き込んだ国際紛争の様相を呈したため、国連安全保障理事会は1999年4月、外国軍の撤退と停戦を求める決議を全会一致で採択した。2001年1月、カビラ大統領が殺害され、息子のジョゼフ・カビラが大統領に就任した。
[赤阪 賢]