ミッションスクール(読み)みっしょんすくーる(その他表記)mission school

デジタル大辞泉 「ミッションスクール」の意味・読み・例文・類語

ミッション‐スクール(mission school)

キリスト教団体が布教目的として設立した学校
キリスト教徒教会が、その信仰に基づいて一般教育を行うために設立した学校。キリスト教主義学校

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精選版 日本国語大辞典 「ミッションスクール」の意味・読み・例文・類語

ミッション‐スクール

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] mission school ) キリスト教団が布教の目的で創設した学校。また、広くキリスト教の精神に基づいて創設された学校。ミッション
    1. [初出の実例]「伝道学校(ミッションスクール)に居たのだから」(出典:其面影(1906)〈二葉亭四迷〉四九)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ミッションスクール」の意味・わかりやすい解説

ミッション・スクール
みっしょんすくーる
mission school
christian school

日本におけるキリスト教による学校を通常ミッション・スクールという。幕末開港とともに、来日した宣教師(ミッショナリー)たちは、各地で家塾を開き、そこから学校が創設された。1870年(明治3)に設立されたフェリス女学院、女子学院をはじめとして各地に宣教師たちの尽力によって学校が設けられ、ミッション・スクールといわれた。明治10年代の欧化主義の時代には、ミッション・スクールはきわめて盛んであったが、次の反動期には国家主義が高まり、徴兵令の改正により生徒が減少したり、文部省訓令第12号(1899年8月)が出され、宗教教育の実施が困難になるなどの苦悩があった。しかし日本の女子高等教育においては先駆的役割を果たし、大正期においては、同志社、立教学院、関西(かんせい)学院のように大学令による大学を設立するに至った。第二次世界大戦中には、外国式名称の変更、外国人校長に対する圧迫、配属将校による監督など軍国主義的干渉を受けたが、戦後海外の諸教会との関係を回復し、国際性をもった名門校として評価を受け、整備、発展をなしつつある。今日では外国のミッション(宣教師派遣団体)とは友好・協力関係を保ちながら、日本の学校法人として主体的な運営をしている。それぞれの学校は立学の精神をたいせつにし、キリスト教に根ざした人格教育、英語などの外国語教育に重点を置き、外国の諸学校や団体との交流を図り、国際的な教育を推進している。

 1910年からプロテスタント系のキリスト教による学校の多くはキリスト教学校教育同盟を組織している。加盟しているものは、大学院36、大学52、短期大学25、高等学校93、中学校71、小学校27があり、学生・生徒数は34万4356人(以上2002年現在)に及ぶ。なお、カトリック系では1974年(昭和49)に設立された日本カトリック学校連合会の下に、大学院3、大学17、短期大学26、高等学校112、中学校96、小学校53があり、学生・生徒数は24万3225人(以上2001年現在)となっている。

[竹中正夫]

『山内継祐著『ミッションスクールのお嬢さん教育』(1985・講談社)』『水口洋著『風と出会う ミッションスクール教師として』(1996・いのちのことば社)』『北川直利著『ミッション・スクールとは何か 教会と学校の間』(2000・岩田書院)』

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改訂新版 世界大百科事典 「ミッションスクール」の意味・わかりやすい解説

ミッション・スクール
mission school

宗教の宣布・伝道のための手段として,伝道団体(ミッション)の手によって設けられた学校。なかでもとくにキリスト教系の学校のうち,キリスト教圏以外の土地で設立・経営される学校を指すのが普通である。宗教系学校という意味では日本にも仏教系,神道系などの諸学校があるが,〈ミッション・スクール〉といえばキリスト教系学校と同じ意味で用いられている。19世紀後半にキリスト教系教育機関が生まれた中国,朝鮮等においても同様である。ミッション・スクールの歴史はキリスト教の歴史とともに古いが,アジア・アフリカ諸地域に多数のミッション・スクールが生まれたのは19世紀半ばから後半のことである。日本では,明治維新直後に主としてプロテスタント系の伝道師が開いた家塾として誕生したもの(例えばフェリス和英女学校,女子学院。ともに1871年(明治4)設立)が多く,他方,伝道者養成のために設立された一種の神学塾(例えば明治学院,立教学院などの前身校)の2種があった。明治20年代にいたるまで,これらの学校は,むしろ公立学校よりも高い水準の普通教育,英語教育を行い,とくに女子中等教育の機会を開き,開明主義的な教育の発展に大いに貢献した。このほか,日曜学校,幼稚園などの形態で発展したものもある。しかし明治中期以後,国家主義の風潮が盛んになるにつれて,ミッション・スクールに対する抑圧は厳しくなり,とくに1899年の文部省訓令第12号事件(正規の学校にとどまろうとするかぎりいっさいの宗教教育を禁じた)によって,キリスト教教育は厳しい抑圧下におかれた。しかしその後,ミッション・スクールの大部分は伝道団体からの直接経営をはなれ,公教育諸学校の一環として整備拡充する傾向をみせはじめ,専門学校令(1903)の下で専門学校として発展する学校が続々と生まれ,女子専門学校も誕生した(同志社,青山学院,関西学院,東北学院,神戸女学院,西南学院,東京女子大学など)。これらのなかのあるものは,大正期以後大学に昇格している。第2次大戦中には苦難の道をたどった学校も少なくなかったが,戦後ふたたび隆盛をみている。1983年の統計では,プロテスタント系・カトリック系を合わせてキリスト教系学校の数は628校,学校法人の数は214である。日本の大学の14.6%がミッション系であり,短期大学も全体の15.4%を占めている。学校数は高校が最も多く219校(高校総数の4.1%)である。キリスト教主義の訓育,小・中・高・大の一貫教育,国際的な視野に立つ知育,自由な校風など,特色に恵まれている例が少なくない。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ミッションスクール」の意味・わかりやすい解説

ミッション・スクール
mission school

キリスト教の伝道会 (ミッション) ,宣教会,修道会,海外布教団体などが,アフリカ,アジア,アメリカなど,キリスト教国以外の国々における布教,伝道活動の一端として設立した学校。主としてプロテスタント系の学校についていわれたが,現今ではカトリック系の学校をも含めて,キリスト教主義の学校一般に用いられている。学校自体の目的は必ずしも聖職者の養成を中心とした布教活動にはなく,キリスト教を基盤に西欧の文化を伝達し,教養の形成,向上を目指すことが多い。日本では明治維新後,横浜をはじめとする開港地や東京をはじめとする大都市部にアングロサクソン系を中心とした布教団体により,次々に中等・高等教育レベルの学校が設立された。信徒数の伸び悩みから,これらの学校は苦難の道をたどるが,大正期に入る頃から基礎を確立し,今日では大学にまで発展している。特に女子教育に果した功績は大きい。最近はキリスト教主義学校という名称が好んで用いられている。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「ミッションスクール」の解説

ミッション・スクール

キリスト教団,とくに伝道教会(mission)が布教のため設立した学校。一般的には教会やその信者が信仰にもとづいて教育を行う学校をいう。幕末期,アメリカ人を中心とするプロテスタント宣教師によって布教のための私塾として設けられたのが始まり。明治10年代の欧化思潮の隆盛によって著しく増加し,女子教育や英語教育などに先駆的な役割をはたした。明治20年代以降,「教育と宗教の衝突」論争や1899年(明治32)の文部省訓令による教育と宗教の分離令などによる干渉,第2次大戦中の苦難をへて戦後に至る。

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百科事典マイペディア 「ミッションスクール」の意味・わかりやすい解説

ミッション・スクール

キリスト教に基づく教育を行う学校。本来キリスト教伝道協会(ミッション)が,伝道の一手段として設立する学校をいうが,今日ではより広義に用いられる。日本では近世初めのキリシタン学校が先駆であるが,本格的には明治以後。伝道者養成の宗教教育のみならず,外国語教育や女子教育の分野で先駆的役割を果たした。

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世界大百科事典(旧版)内のミッションスクールの言及

【アメリカ合衆国】より

…アメリカでは1810年に最初の外国伝道団体として超教派的なアメリカン・ボードが創立され,その後各教派に外国伝道局(ミッション)が設けられた。新大陸のみならず全世界に伝道することがアメリカの〈明白な運命〉であるという選民意識とも結びついた布教活動は,開国間もない日本各地に教会と学校(ミッション・スクール)を設立した。宣教師とともに教師として来日したL.L.ジェーンズやW.S.クラークらの影響で,学生たちは熊本バンド,横浜バンド,札幌バンドと呼ばれる信者同志グループをつくり,その中から海老名弾正,植村正久,内村鑑三らの日本プロテスタントの指導者が輩出したのである。…

※「ミッションスクール」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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