改訂新版 世界大百科事典 「ムニキピウム」の意味・わかりやすい解説
ムニキピウム
municipium
古代ローマの地方自治都市。共和政ローマはイタリア内の服属した都市国家にローマ市民権を与え,その在来の政治的諸制度を存続させて自治を認め,地方行政をゆだねた。前384年トゥスクルムが初めてムニキピウムになったと伝えられるが,前338年以降この方式はラティウムの諸都市に適用され,ローマ領の拡大とともにムニキピウムは増加した。同盟市戦争の結果,イタリアの全自由民にローマ市民権が与えられ,ムニキピウム制はイタリア中に広がり,各都市では毎年民会で選ばれる2人ないし4人の政務官が統治する行政組織が一般化した。帝政期には属州の諸都市もローマ市民権またはラテン権を与えられて,ムニキピウムになるものが増加した。
執筆者:平田 隆一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報