日本大百科全書(ニッポニカ) 「ラティウム」の意味・わかりやすい解説
ラティウム
らてぃうむ
Latium
イタリア中部の州ラツィオのラテン名であるが、古代のラティウムは、ローマを中心に南北に広がる現代のラツィオに対し、元来ティベリス川(現テベレ川)以南、ティブルTibur(現チボリ)からティレニア海に向かって広がる約1200平方キロメートルの地方で(「旧ラティウム」)、本来ラテン人の居住地をさした。紀元前5世紀以降、ウォルスキ人、アエクイ人、ヘルニキ人などの領域が「拡大されたラティウム」となり、ラティウムはカンパニアと境を接するに至った。前338年のラテン戦争後、当地方の大部分がローマ国家に併合された。6世紀にローマ教皇の世俗的権力の基地となって以来、中世を通じてローマ教皇領の中核部分をなしていたが、1870年イタリア王国に併合された。
[平田隆一]
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