日本大百科全書(ニッポニカ) 「ムレキシド」の意味・わかりやすい解説
ムレキシド
むれきしど
murexide
プルプル酸アンモニウム塩の別名。酢酸中でアロキサンチンと塩化アンモニウムとを反応させると得られる( )。化学式C8H8N6O6、分子量284.2。緑色の光沢をもつ赤色結晶で、水にはわずかに溶けるが、エタノール(エチルアルコール)、エーテルには溶けない。水溶液は水素イオン濃度指数(pH)が0以下の強酸性では黄色、pH0~9で赤紫色、pH9~11で紫色、pH11以上で青色に変色する。水溶液は不安定で、ウラミルとアロキサン、またはウラミルとアロキサンチンに分解すると退色する。EDTA(エチレンジアミン四酢酸)滴定の金属指示薬として、カルシウム、銅(Ⅱ)、コバルト、ニッケルなどの金属イオンの滴定に使用する。ムレキシドは尿酸誘導体を硝酸などにより酸化した際にも生成し、特有な赤紫色を呈するので、この反応はカフェイン、テオフィリンなどの尿酸誘導体の検出反応として知られていて、ムレキシド反応という。
[廣田 穰]