ムーセイオン(読み)むーせいおん(その他表記)Mouseion ギリシア語

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ムーセイオン」の意味・わかりやすい解説

ムーセイオン
むーせいおん
Mouseion ギリシア語

古代ギリシアの学府で、プトレマイオス朝エジプトアレクサンドリアの学術研究所(前3世紀の初めの創立)がもっとも著名。ミュージアムmuseum(博物館)の語源。本来はギリシア神話に出てくる知的活動をつかさどるムーサ(英語のミューズ)女神たち、またはその霊感を受けた学芸に関連した土地をさす。プラトンアカデメイアアリストテレスのリケイオン以来、学園内に女神たちの聖所があったことから、アレクサンドリアでは教育・研究機関の名称となった。ここは、ヘレニズム世界の学術研究の中心地として幾多の俊英を輩出し、ローマ時代にも繁栄した。

[豊田和二]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

山川 世界史小辞典 改訂新版 「ムーセイオン」の解説

ムーセイオン
Museion

プトレマイオス1世がその晩年アレクサンドリアに設立した王室付属研究所。地中海世界各地から約100名の学者が招かれ,十分の給与を得て実証的な文献学自然科学などの研究,講義を行い,ヘレニズム時代の学問の中心となった。前2世紀後半からやや衰えたが,アウグストゥスのとき繁栄を回復した。3世紀以後再び衰微したが,400年頃まで活動の跡がたどられる。

出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報

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