六訂版 家庭医学大全科 「めまいの検査」の解説
めまいの検査
(耳の病気)
①
めまいがする時に、患者さんは天井などのまわりの景色がぐるぐる回っていると訴えます。この時、実際に天井が回っているのではなく、眼球のほうが回っているためそう見えるのです。この眼球の動きを眼振といいます。
眼振をよく観察するためには「フレンツェルの眼鏡」を使います。この眼鏡は強い凸レンズです。そのため、まわりのものがぼやけてよく見えず、視線を固定することができなくなります(非注視状態)。この状態では弱い、かすかな眼振も観察しやすくなります。
耳が原因の眼振の多くは水平性、あるいは水平回旋混合性の眼振です。この時、眼球はゆっくりと右あるいは左に動いたあと、急速に反対に動いて元の位置にもどります。この動きを繰り返しています。
一方、垂直性の眼振がみられる場合などは中枢性(脳、とくに小脳、脳幹)のめまいの特徴で、すぐにCTやMRIなどの検査が必要となります。このように眼振の詳しい観察は、めまいの原因を知るうえで非常に重要なものです。
②温度眼振検査
ヒトの外耳道に冷たい水や温かいお湯を入れると、内耳の
もし反応がまったくなければ、内耳(半規管)の機能をほとんど失っていると考えられます。
③
耳を押さえたり、耳たぶを引っ張ると、めまいがすると訴える患者さんが時々います。このような患者さんの外耳道に陽圧や陰圧の刺激を与えると、めまいが起こり、眼振がみられます。このような症状を瘻孔症状といい、その有無を調べる検査を迷路瘻孔症状検査といいます。
慢性中耳炎、とくに
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報