メンフクロウ(読み)めんふくろう(英語表記)barn owl

翻訳|barn owl

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「メンフクロウ」の意味・わかりやすい解説

メンフクロウ
Tyto alba; western barn owl

フクロウ目メンフクロウ科。ナヤフクロウともいう。全長 25~50cm。27ほどの亜種がある。亜種によって羽色や大きさが異なるが,ハート形の白い顔盤をもち,胸腹部は白く,頭上,背,上面,尾は美しい淡褐色で,頭上や背面には淡紫褐色と白色の斑があり,風切と尾には紫褐色の横帯がある。分布域はヨーロッパ中部からアフリカインドからインドシナ半島スマトラ島ジャワ島オーストラリア北アメリカ中部から南アメリカとフクロウ類のなかでは最も広いが,日本は含まれていない。低木の散在する草地,農耕地,疎林などに生息する。古い建物や天井の高い農家の納屋などを日中の休み場や営巣場所にすることが多く,特にヨーロッパでは親しまれている。なお,メンフクロウ科 Tytonidaeはメンフクロウ属 Tyto 15種とニセメンフクロウ属 Phodilus 3種からなる。(→猛禽類

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「メンフクロウ」の意味・わかりやすい解説

メンフクロウ
めんふくろう / 面梟
barn owl

広義には鳥綱フクロウ目メンフクロウ科に属する鳥の総称で、狭義にはそのうちの1種をさす。この科Tytonidaeには11種が含まれる。全長28~53センチメートル、フクロウ類によく似ているが、顔盤が特徴的なハート形をしており、目はフクロウ類ほど頭のわりに大きくない。足はフクロウ類より細くて長く、中趾(ちゅうし)のつめ内縁が櫛(くし)の歯状になっている。羽色は一般に体上面が褐色系、下面が白っぽい。全世界に広く分布しているが、日本では、ミナミメンフクロウTyto longimembrisが沖縄の西表(いりおもて)島でただ1回記録されているだけである。明るい林からサバナにまですみ、夜間、ネズミモグラなどの小動物をとって食べる。フクロウ類同様、聴覚と視覚は非常によく発達している。樹洞、崖(がけ)地の穴、建物のすきまなどに営巣する。ただし、巣らしい巣はつくらない。卵は白色無地で、1腹卵数は3~6個。雌だけが抱卵し、育雛(いくすう)は雌雄ともに行う。

 種としてのメンフクロウT. albaは全世界に分布しているが、極地、黒海以東のユーラシア中・北部サハラ砂漠コンゴおよびアマゾンの密林地帯にはいない。この類の代表種で、ヨーロッパでは古城教会廃屋などに巣をつくる鳥としてよく知られている。

[樋口広芳]

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