日本大百科全書(ニッポニカ) 「モンパルナス」の意味・わかりやすい解説
モンパルナス
もんぱるなす
Montparnasse
フランスの首都パリ南部、セーヌ川左岸にある地区(カルチエ)。ラスパイユ通りとモンパルナス通りの交点(ロダンのバルザック像が立つ)を中心とする国鉄モンパルナス駅、モンパルナス墓地(1824開設)付近一帯の市街地。名称は、1760年のモンパルナス通り(命名は19世紀)開通以前この地にあったパルナッソスの丘にちなむ。20世紀初頭以降モンマルトルに次いで前衛芸術家や亡命者たちの多く集まる地区となり、彼らの通ったカフェー「ドーム」や「クーポル」にはいまも観光客が訪れる。藤田嗣治(つぐはる)のようにこの街に住み、この街を描いた画家も多い。ババン街、ブレア街、ドゥランブル街などは「夜の箱」とよばれる歓楽街。モンパルナス墓地には、ポアンカレ、ボードレール、モーパッサン、サン・サーンス、セザール・フランクなど文人、音楽家の墓が多い。
[高橋 正]