改訂新版 世界大百科事典 「ヤウンデ協定」の意味・わかりやすい解説
ヤウンデ協定 (ヤウンデきょうてい)
Yaoundé agreements
ローマ条約により1958年,ヨーロッパ経済共同体(EEC)が発足した。これをうけて,ヨーロッパとそのアフリカ植民地との間で相互の関係を維持・強化するべく通商連合協定(1958-62)が締結された。しかし60年代に入ってこれら植民地がつぎつぎと独立を達成するのに応じて,新しい協定が必要とされるようになった。これが63年7月カメルーンの首都ヤウンデにおいてEECとアフリカの旧植民地18ヵ国の間で締結されたヤウンデ協定である。協定は,(1)EEC諸国が関税率の引下げ(〈特恵関税〉の項参照)や輸入制限の漸進的撤廃を行うことにより,アフリカ諸国の製品に対する市場を拡大しその貿易を増大させること,(2)EEC諸国がアフリカ諸国の経済開発を促進するためもろもろの援助を供与すること,を規定している。協定は64年6月1日に5年間の期限つきで発効したが(第1次ヤウンデ協定),69年7月には第2次ヤウンデ協定として更改され,75年1月末日をもって失効した。またEECとアフリカ諸国の協定はイギリス連邦に属する東アフリカ3ヵ国にも拡大され(アルーシア協定),1971年1月から発効した。75年2月に締結されたロメ協定は,この2協定を発展的に受け継いだものである。
執筆者:村上 敦
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