日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヤクルト本社」の意味・わかりやすい解説
ヤクルト本社(株)
やくるとほんしゃ
乳酸菌飲料のトップメーカー。医学博士代田稔(しろたみのる)(1899―1982)が発見した乳酸菌シロタ株を、1935年(昭和10)代田保護菌研究所が福岡市で「ヤクルト」の商標で製造・販売したのが始まり。全国各地の独立した企業で製造・販売していた事業を統括する機関として、1955年(昭和30)にヤクルト本社が設立された。その後、松園尚巳(まつぞのひさみ)(1922―94)が強力な指導者として登場し、地方企業の寄り合い世帯であった組織を統率のとれた組織とし、婦人販売員による宅配システムの導入など新しい経営戦略を打ち出した。1968年にはプラスチック容器を導入し、配達本数の飛躍的増大を実現した。1970年代には発酵乳「ジョア」や「ミルミル」などの新製品を発売するとともに、化粧品分野、医薬品分野にも進出し、従来の「ヤクルト」単品依存の経営から総合健康産業へと多角化していった。生命科学をバックとした高品位化と世界戦略の推進を目ざし、海外進出にも積極的である。プロ野球ヤクルト球団(東京ヤクルトスワローズ)をもつ。資本金311億円(2008)、売上高1674億円(2008)。
[中村青志]