日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヤブサンザシ」の意味・わかりやすい解説
ヤブサンザシ
やぶさんざし / 藪山櫨子
[学] Ribes fasciculatum Sieb. et Zucc.
ユキノシタ科(APG分類:スグリ科)の落葉低木。高さ約1メートル。枝は細くて刺(とげ)はない。葉は互生し、卵円形で長さ、幅ともに3~4センチメートル。縁(へり)は浅く3~5裂し、粗い鋸歯(きょし)がある。雌雄異株。3~4月、新葉と同時に黄緑色の小花を短枝に束生する。雄花の萼筒(がくとう)は杯状で、雌花の萼筒は卵形で先は5裂する。花弁は萼片よりはるかに小さい。雄しべは5本。液果は無毛で、赤く熟し、広楕円(こうだえん)形で長さ8ミリメートル。名は、藪(やぶ)に生え、果実がサンザシに似ていることによる。山野にまれに生え、中部地方以西の本州から四国、九州、および朝鮮半島、中国に分布する。
[小林義雄 2020年5月19日]