ユウスゲ(読み)ゆうすげ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ユウスゲ」の意味・わかりやすい解説

ユウスゲ
ゆうすげ / 夕菅
[学] Hemerocallis citrina Baroni var. vespertina (H.Hara) M.Hotta
Hemerocallis thunbergii Baker

ユリ科(APG分類:ススキノキ科)の多年草。キスゲともよばれる。根は多数束をなして株元から出るが、横じわがあり、紡錘根はつくらない。葉は多数叢生(そうせい)し、斜め上に伸び、上部下垂する。長さ40~70センチメートル、線形で幅0.7~1.4センチメートル、全縁。花茎は直立し、高さ1~1.5メートル、上部に披針(ひしん)形で2~7センチメートルの包葉がある。花序は数回枝分れする典型的な円錐(えんすい)花序で、枝の基部には包葉がつく。花は鮮やかな淡黄色で、かすかな芳香性があり、7月中旬から8月中旬にかけて咲く。夕方6時前後から咲き始め、翌日の朝しぼむ。花筒は細長く、2.8~3.2センチメートルあり、花被(かひ)裂片は6、長さ6.5~7.5センチメートル。雄しべは6本、上部はやや湾曲し、基部で花筒に合着する。雌しべの花柱は長く、頂出し、上部はやや湾曲するが雄しべより長い。蒴果(さくか)は広楕円(こうだえん)形、先端はへこみ、長さ約2センチメートル、乾燥すると胞背裂開する。種子卵形、長さ4ミリメートル、黒色光沢がある。本州から九州の丘陵地の草原に生育する。

河野昭一 2019年1月21日]

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百科事典マイペディア 「ユウスゲ」の意味・わかりやすい解説

ユウスゲ

キスゲとも。ユリ科の多年草。本州〜九州の山地にはえ,庭にも植えられる。葉は根生し,線形で2列に並ぶ。夏,高さ1m内外の花茎を立て,数個の芳香のある花をつける。花は長さ10cm内外,漏斗(ろうと)形で淡黄色,花被片は6枚あって基部は細い花筒となる。日中開くニッコウキスゲと異なって,夕方から翌朝にかけて咲く。
→関連項目カンゾウ(萱草)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ユウスゲ」の意味・わかりやすい解説

ユウスゲ(夕菅)
ユウスゲ
Hemerocallis thunbergii

ワスレグサ科の多年草。キスゲともいう。日本各地の山地草原や高原に生える。扁平で線形の長い葉を多数根生し,その中央から 50~80cmの花茎を伸ばして上部にユリに似た数個の花をつける。花は明るいレモン色の 6弁で夕方に開き,翌朝にはしぼむ。高原にしばしば群生してオレンジ色の一日花をつけるニッコウキスゲの近縁種であるが,ユウスゲのほうが花筒が細長く花色も淡い。

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改訂新版 世界大百科事典 「ユウスゲ」の意味・わかりやすい解説

ユウスゲ

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世界大百科事典(旧版)内のユウスゲの言及

【キスゲ】より

…英語名も学名も,美しい花が1日だけでしぼんでしまうことからつけられた名前である。
[日本の野生種]
 レモン色の花をつける群には中部地方以西の海岸や内陸草原に見られる夜咲きのキスゲ(別名ユウスゲ)H.citrina Baroni var.vespertina (Hara)Hotta(英名late yellow day‐lily)(イラスト)と,北海道の海岸に分布し,夕方咲き出した花は翌日の午後まで咲くエゾキスゲH.flava L.var.yezoensis (Hara) Hottaがある。橙黄色の花をつける昼咲き群にはいろいろなものがある。…

※「ユウスゲ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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