淡い(読み)アワイ

デジタル大辞泉 「淡い」の意味・読み・例文・類語

あわ・い〔あはい〕【淡い】

[形][文]あは・し[ク]
色や味などが際立たず、薄い。「―・い水色」「―・い味付け」⇔濃い
形や光などがぼんやりしている。かすかである。「―・く雲がかかる」「―・い冬の日差し
執着関心が少なくてあっさりしている。ほのかである。「―・い恋心」「―・い期待
軽薄である。軽々しい。
「なのめなることをだに、少し―・き方に寄りぬるは、心とどむるたよりもなきものを」〈澪標
[補説]近世以降、シク活用の例もみられる。
「五の交はりの中に淡々とあはしき交はりあり」〈其角十七回
[派生]あわさ[名]
[類語]ほのかかすかほんのりうっすらおぼろげうすうす薄い浅い淡淡しい薄める薄れる薄らぐよう杳杳ようようようとして暗い薄暗いほの暗い小暗い暗い小暗がり手暗がり真っ暗暗然冥冥漠然ぼんやりぼうっとぼうとぼやっと不鮮明もやもや霞む見えにくい陰る曇るおぼろかき曇るぼやけるぼけるかすれる朦朧もうろうどろん不透明ほの見えるしょぼつくしょぼしょぼ茫茫ぼうぼう不可視

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「淡い」の意味・読み・例文・類語

あわ・いあはい【淡】

  1. 〘 形容詞口語形活用 〙
    [ 文語形 ]あは・し 〘 形容詞ク活用 〙
  2. 色、味、調子などが薄い。⇔濃い
    1. [初出の実例]「澹淡 アハシ〔集〕」(出典:書陵部本名義抄(1081頃))
    2. 「曲淡(アハク)節稀に声多からず」(出典:白氏文集天永四年点(1113)三)
  3. 物事に対する執着、関心の度合が浅い。あっさりしている。
    1. [初出の実例]「君子の交はり也 淡(アハイコト)水の若し」(出典:世俗諺文鎌倉期点(1250頃))
    2. 「老いぬる人は、精神おとろへあはくおろそかにして、感じうごく所なし」(出典:徒然草(1331頃)一七二)
    3. 「欲に淡(アハ)く道に励めば」(出典:いさなとり(1891)〈幸田露伴〉九三)
  4. 考え、行動、判断などが一貫していない。軽薄である。
    1. [初出の実例]「なのめなることをだに少しあはき方によりぬれば、心とどむるたよりもなきものを」(出典:源氏物語(1001‐14頃)澪標)
    2. 「恁(かう)(まう)さば、淡(アハ)き女子の身の程をしも、思はぬまでに舌長しとて叱らせ給ふ歟(か)」(出典:読本・南総里見八犬伝(1814‐42)八)
  5. かすかではっきりしない。
    1. [初出の実例]「志村鶴松との昔の浮名は、十四五の淡(アハ)い事であったとするも」(出典:黒い眼と茶色の目(1914)〈徳富蘆花〉三)
    2. 「記憶はそれ程に、淡(アハ)く、たよりないが」(出典:夢声半代記(1929)〈徳川夢声〉江戸ッ児になる迄)

淡いの派生語

あわ‐さ
  1. 〘 名詞 〙

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