萱草(読み)カンゾウ

デジタル大辞泉 「萱草」の意味・読み・例文・類語

かん‐ぞう〔クワンザウ〕【×萱草】

ススキノキ科ワスレグサ属の多年草総称ノカンゾウヤブカンゾウニッコウキスゲユウスゲなど。葉は刀身状。夏、黄やだいだい色のユリに似た大きい花を数個開き、1日でしぼむ。多くの園芸品種や近縁種もある。けんぞう。 夏》湯治場や黄なる―得て帰る/子規

わすれぐさ【萱草】

宗祇による自撰連歌集。文明6年(1474)成立

けん‐ぞう〔‐ザウ〕【×萱草】

かんぞう(萱草)

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精選版 日本国語大辞典 「萱草」の意味・読み・例文・類語

かん‐ぞうクヮンザウ【萱草】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ユリ科の多年草。主としてヤブカンゾウをさし、時に同属のノカンゾウ、ハマカンゾウ、ニッコウキスゲ等をも含む。各地の原野山地などに広く分布し、夏に、橙赤色ないし橙黄色のユリに似た花を数個つける。若芽や花は食用になる。

▼かんぞうの花《 季語・夏 》

  1. [初出の実例]「供殖薬様廿五種麻黄。丹参。地黄。黄芩。奄閭。萱草」(出典:延喜式(927)三七)
  2. 「前栽にくゎんざうといふ草を、ませ結ひていとおほく植ゑたりける」(出典:枕草子(10C終)一六一)
  3. かんぞういろ(萱草色)」の略。
    1. [初出の実例]「くゎむざうの袴など着たるもをかしき姿也」(出典:源氏物語(1001‐14頃)葵)

けん‐ぞう‥ザウ【萱草・諼草】

  1. 〘 名詞 〙 植物やぶかんぞう(藪萱草)」の漢名
    1. [初出の実例]「合歎寂院寧蠲忿。萱草閑堂反召悲」(出典:文華秀麗集(818)中・奉和春閨怨〈菅原清公〉)
    2. 「北堂の萱草も霜枯果て、今は跡だになし」(出典:俳諧・野ざらし紀行(1685‐86頃))
    3. [その他の文献]〔詩経‐衛風・伯兮〕

か‐ぞうクヮザウ【萱草】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「かんぞう」の撥音「ん」の無表記 )
  2. かんぞう(萱草)
    1. [初出の実例]「くゎさうにぞにさせ給へる」(出典:林崎文庫旧蔵本堤中納言(11C中‐13C頃)はなだの女御)
  3. かんぞういろ(萱草色)」のこと。

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