日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヨウ素デンプン反応」の意味・わかりやすい解説
ヨウ素デンプン反応
ようそでんぷんはんのう
iodostarch reaction
デンプン溶液に冷時ヨウ素を作用させたとき青紫色を呈する反応。この反応は古くから知られ、反応機構については19世紀末より種々研究されている。きわめて鋭敏な呈色反応で、微量のヨウ素あるいはデンプンの検出に用いられ、とくにヨウ素滴定の終点指示に利用される。呈色の色調はデンプンの種類、分子量などに関係する。呈色の変化はデンプンの加水分解の程度を判定したり、アミラーゼ活性の測定などに利用される。ヨウ素デンプンの呈色の原因は、デンプン分子がそのグルコース残基6個を1巻きとする螺旋(らせん)構造をとり、螺旋の中心にヨウ素分子が直線的に配位したいわゆる包接化合物(クラスレイト)をつくるためであるとされている。
ヨウ素デンプン反応は牛乳などの食品や生体材料中のデンプンの検出や、ヨウ化カリウムデンプン紙を用いてヨウ化物イオンを酸化してヨウ素を遊離させるような酸化剤を検出するのに利用される。
[成澤芳男]