アミロペクチンとともにデンプンを構成するα-(1→4)結合したD-グルコースの直鎖多糖.重合度は不均一(30~3000)であるが,糖残基6個を単位としてらせん状に巻いている.13% 硫酸マグネシウム溶液を用いたデンプン溶液から,80 ℃ でアミロースは沈殿し,アミロペクチンは室温で沈殿する.また,デンプン溶液を1-ブタノールとふりまぜると,アミロースは包接化合物をつくり沈殿するなどの性質を利用して分離する.通常は,20~25% がアミロースであるが,品種改良したトウモロコシデンプンで70~80% を占めるものもある.約+190°.ヨウ素と青色の複合体(λmax 650 nm)を形成する(ヨウ素-デンプン反応).アミロースは,シクロヘキサノール,脂肪酸,そのほか各種有機化合物とも包接化合物を形成する.β-アミラーゼで非還元末端からマルトース単位で分解され,α-アミラーゼは1,4結合をランダムに加水分解してグルコースやオリゴ糖を生成する.繊維状,フィルム状になりやすく,フィルムはガス透過性が低いのが特徴.食品用包装材に用いる.[CAS 9005-82-7]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
デンプンの一成分で、アミロペクチンとともにデンプン粒を構成する。高等植物に存在し、デンプンの20~30%を占める。無味、無臭の白色粉末で、水に溶けるがエチルアルコールには溶けない。デンプンを熱水に溶かしたものにブチルアルコールを加えると、アミロースは結晶状に析出するが、アミロペクチンは溶けたままなので、両者を分離できる。また、アミロースの水溶液にヨウ素を加えると青紫色を示す。この性質はアミロースの検出に利用される。
アミロースはグルコースが鎖状にα-1・4-結合で数百個つながった構造で、グルコース6分子で1回りするようにアミロースの鎖は螺旋(らせん)形に巻いている。ヨウ素を加えると青紫色になるのは、ヨウ素がこの螺旋の中に取り込まれて特殊な存在状態になるからである。また、グルコースとグルコースの間の結合はかなり安定で、希硫酸や希塩酸を加えて数時間煮沸しなければ、この結合を完全に分解できない。しかしアミラーゼの存在下では、中性の溶液で、しかも常温で完全に分解され、マルトースやグルコースになってしまう。フォスフォリラーゼもアミロースを分解する。植物によってアミロースが合成される道筋は、以前にはフォスフォリラーゼの逆反応によると考えられていたが、現在ではアデノシン二リン酸グルコースを経る経路が主であることがわかっている。
[村松 喬]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…糖質やペプチドの最終的な消化はここで行われ,この特殊な空間に出た最終消化産物は同じ細胞膜に備わった,濃度こう配に逆らって行われる強力な能動輸送によって,速やかに細胞内にとり込まれる。
[糖質の消化]
食物中の炭水化物の大部分はデンプンであるが,デンプンにはブドウ糖がα‐1,4グルコシド結合のみで多数重合した直鎖構造のアミロースと,α‐1,4グルコシド結合のほかに数%の割でα‐1,6グルコシド結合を含む樹枝状構造のアミロペクチンの2種が混在する。唾液中のアミラーゼ(プチアリン)はα型であり,α‐1,4グルコシド結合を加水分解して低分子のデキストリンを産生し,最終的にはマルトース(麦芽糖)にまで分解する。…
…精製されたデンプンは白色の粉末で無味,無臭である。デンプンはアミロースamyloseとアミロペクチンamylopectinの二つの成分からなる。アミロースはグルコースがα‐1,4結合で重合した直鎖の分子で,分子量は数千から数十万に及ぶ。…
※「アミロース」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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