改訂新版 世界大百科事典 「ヨエル書」の意味・わかりやすい解説
ヨエル書 (ヨエルしょ)
Book of Joel
旧約聖書の〈12小預言書〉に属する預言書。《ホセア書》に次ぐ2番目の書。ヘブライ語原典では,2章28~32節が3章1~5節に数えられており,全体で4章になる。著作年代はバビロン捕囚後で,ネヘミヤによるエルサレム城壁の再建以後,前400年ころと思われる(2:7参照)。前半の1~2章は大軍になぞらえられたイナゴの害を描き,預言者的人物が民に悔い改めを迫る。断食と祈りのあとで,神の救いの約束と感謝が語られている。後半の部分(2:28~32,3:1~21,ヘブライ語原典では3~4章)では終末についての預言が記されている。2章28~32節の預言は新約の《使徒行伝》で成就したとして引用されている(2:17~21)。
執筆者:木田 献一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報