日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヨルガ」の意味・わかりやすい解説
ヨルガ
よるが
Nicolae Iorga
(1871―1940)
ルーマニアの歴史家、文学者、政治家。天才児として知られ、ヤーシ大学を1年3か月で終え、19歳で卒業した。パリ、ライプツィヒに留学し、歴史学の博士号を取得。帰国後、23歳でブクレシュティ(ブカレスト)大学の歴史学科教授に任命された。ビザンツ史の世界的権威として名声を得たが、評論、文学史的研究の分野でも精力的に活動し、彼の編集した文芸誌『種蒔(ま)く人』は、西欧的都市文明に抗して、土着的農村文化の発展を擁護した農民文学派の拠点となった。『ありし日の人々』(1934~39)は、回想記文学の傑作。保守派の政治家としても活躍したが、その反ファシズム的態度のために、ファシスト組織の手で暗殺された。
[直野 敦]