玩具の一種。木や陶製の車輪形のものを向かい合わせて軸でつなぎ,その間の溝に糸を巻きつけ,この糸をつるして上下に回転させて遊ぶ玩具。ジャイロスコープ(回転儀)の原理を応用したもので,中国で創案されたといい,18世紀にヨーロッパに伝えられた。日本でも同じころに中国から伝わり,長崎から流行し,享保年間(1716-36)初期には京坂で売られ,やがて江戸でも流行した。1727年刊の《目付絵》には,当時の流行玩具のひとつとして〈お蝶殿の手車〉の名があげられており,また1798年(寛政10)刊の《近世畸人伝》には〈享保のはじめ,京に手車(てぐるま)といふものをうる翁あり〉とあり,〈手車〉の名でよばれていたことがわかる。これは胡粉彩色をした土製菊形のものを二つ合わせたもので,鈴木春信の浮世絵にも遊女がこれをもてあそんでいる図がある。子どもだけでなくおとなの玩具でもあったらしい。1930年代には木製のものがヨーヨーの名で世界的な流行をみせ,日本では33年にブームをまき起こした。現在では,プラスチック製の夜光塗料をほどこしたものやブリキ製,木製挽物細工のものなどがみられる。
執筆者:斎藤 良輔
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木、陶、ブリキ、土製などの車輪形のものを、向かい合わせて短い軸でつなぎ、その間の溝に糸を巻き付けて上下に動かし、両輪を回転させて遊ぶ。ジャイロスコープの原理を応用した玩具(がんぐ)。中国で創案され、18世紀に東インドからヨーロッパに伝えられた。当時イギリスでは、プリンス・オブ・ウェールズPrince of Wales、フランスではヨーヨー・ド・ノルマンディーYo-Yo de Normandieとよばれた。これが昭和初期「ヨーヨー」の名で世界的に流行。Climbing topともいう。1932年(昭和7)日本にも渡来し、翌年ブームを巻き起こした。現在も東北地方、群馬、神奈川、三重県などに木製挽物(ひきもの)細工のものがあり、プラスチック製で夜光塗料を施したものや、小物玩具のブリキ製のものなどがある。これに似たものは、日本にもすでに江戸中期からあって、「手車(てぐるま)」とよばれていた。当時やはり中国から渡来したもので、まず長崎で流行、京坂で土製のものがつくられた。1798年(寛政10)刊の『近世畸人(きじん)伝』(伴蒿蹊(ばんこうけい)著)には、享保(きょうほう)年間(1716~36)初期、京で手車が売られたことが記されている。「お蝶殿(ちょうどの)の手車」の名で流行玩具となった。また「銭車(ぜにぐるま)」「あまのつりごま」などがあった。これらは材料が異なるだけでヨーヨーと同一であった。
[斎藤良輔]
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…また人類の進歩の中で,人間はさまざまな欲求を満たすためにさまざまな用具を生み出していくが,それが玩具の世界をまた限りなく豊かにもしていった。 ヨーヨーは東南アジアでは古代から知られており,フィリピンでは,木陰から敵の頭めがけて投げて殺す武器であった。1960年代に大流行したフープの起源はギリシア時代にさかのぼり,ヒッポクラテスは健康的な汗を流させるものとして,このフープの養生法を説いている。…
※「ヨーヨー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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