夜光塗料(読み)ヤコウトリョウ(その他表記)luminous paint

デジタル大辞泉 「夜光塗料」の意味・読み・例文・類語

やこう‐とりょう〔ヤクワウトレウ〕【夜光塗料】

発光塗料

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精選版 日本国語大辞典 「夜光塗料」の意味・読み・例文・類語

やこう‐とりょうヤクヮウトレウ【夜光塗料】

  1. 〘 名詞 〙 光や電子線、X線などをうけて発光する塗料に少量の放射性物質を加えたもの。夜間や暗所でも発光する。時計や計測器の文字板、夜間標識などに用いる。
    1. [初出の実例]「コニイが美しいと思ったのは、〈略〉夜光塗料の標識板で」(出典:銀座二十四帖(1955)〈井上友一郎〉一二)

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改訂新版 世界大百科事典 「夜光塗料」の意味・わかりやすい解説

夜光塗料 (やこうとりょう)
luminous paint

可視光線,紫外線以下の短波長の電磁波や,α線等の放射線を受け,そのエネルギーを可視光線に変化させる性質をもつ蛍光体リン光体を主要顔料とする塗料。蓄光型と発光型とがあり,狭義には後者を夜光塗料(発光塗料)という。一般に,無機または有機蛍光体を展色剤に混ぜてつくる。硫化亜鉛ZnSを母体とし,これに賦活剤として銅を添加し,融剤を混ぜて焼成した緑色の蛍光体が最も多く用いられている。これを使用した塗膜は光の刺激で夜間(暗所)でも十分長時間発光する(蓄光型)。これにラジウムRaやストロンチウム9090Srなど,α線,β線を放射する元素微量加えると自ら発光する(発光型)。発光型は蓄光型と比べると明るいが黒化しやすい欠点をもつ。有機蛍光体としては,ローダミンエオシン等の蛍光染料およびローダミンのタングステン酸塩等の蛍光顔料が用いられる。夜光塗料の色光は,添加する賦活剤により,青緑,黄,オレンジ,赤等となるが,2色混合して白色とすることも可能である。展色剤は通常の常温乾燥型を使用する。可視光線下の塗料色と刺激光線下の発光色が一致しないものもある。蛍光体を利用した蛍光塗料天井壁面に塗り,紫外線照射を行って,無影照明,広告,ショーウィンドーなどに,リン光体を利用したリン光塗料は交通関係などの標識・標示,時計・計器文字盤,機械装置の部品などに適用される。
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百科事典マイペディア 「夜光塗料」の意味・わかりやすい解説

夜光塗料【やこうとりょう】

発光塗料とも。蛍光(けいこう)またはリン光を発する塗料。蛍光体やリン光体を顔料とし,展色剤にはダンマル,酢酸ビニル樹脂などを用いる。蛍光体としては硫化亜鉛などアルカリ土類金属の硫化物に賦活剤(銅,銀,ビスマス,マンガンなど)を微量加えたもののほか,ローダミンエオシンなどの蛍光染料,ローダミンのタングステン酸塩などの蛍光顔料も用いられる。またラジウムなどの放射性物質を微量添加して,放出されるα線の刺激により夜間や暗所でも自ら発光するようにした自発光塗料もある。蛍光の色は赤,だいだい,黄,緑,青など。広告,道路標識,計器類の文字盤などに利用。
→関連項目塗料

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「夜光塗料」の意味・わかりやすい解説

夜光塗料
やこうとりょう
luminous paint

発光塗料ともいう。リン光体を良質の揮発性ワニスなどと練り合わせた塗料である。暗所または夜間に自力で特殊の発光(リン光という)をするもので、一般に放射性物質としてラジウムやウランなどが微量入ったアルカリ土類金属(カルシウム、マグネシウム、バリウムなど)または亜鉛の硫化物がリン光体として用いられる。発光は放射性物質から出るα(アルファ)線によって硫化亜鉛などが刺激を受けておこる。時計の文字盤や計測器の指針、目盛りなどに用いられる。

[垣内 弘]

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化学辞典 第2版 「夜光塗料」の解説

夜光塗料
ヤコウトリョウ
luminous paint, luminescent paint

発光塗料ともいう.暗所で発光する塗料.夜光塗料には,自然発光性と蓄光性の2種類の塗料がある.従来はわずかな放射性元素を含んだ自然発光性の塗料が用いられてきたが,放射性元素を含むため用途の制限があり,生産や廃棄でも厳格な管理が必須であるため,現在では長時間の蓄光性を有するセラミックスを含んだ塗料が使用されている.この蓄光性夜光塗料は,アルカリ土類金属とアルミニウムの複合酸化物に希土類の賦活剤を添加したものを主成分としており,従来の蓄光性を有する塗料より非常に明るい光を長時間発することが可能である.

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