改訂新版 世界大百科事典 の解説
ライプニッツ=ウォルフ学派 (ライプニッツウォルフがくは)
ライプニッツ哲学をいわば独断的に体系化したC.ウォルフの哲学は時代の流行哲学となり,多くの傾倒者を生んだ。それらの弟子たちを総称してライプニッツ=ウォルフ学派と呼ぶ。このグループには,ウォルフ哲学を比較的忠実に継承した弟子たちと,それからある程度独立した考えを提唱するにいたる人々とが区別される。前者に属するのは,ドイツの広範な読者層にウォルフ哲学を広げることに貢献したチューミヒLudwig Philipp Thümmig(1697-1728),ビルフィンガーGeorg Bernhard Bilfinger(1693-1750)やドイツ美学の創始者と目されるバウムガルテンおよびその弟子マイヤーGeorg Friedrich Meier(1718-77)などであるが,とりわけバウムガルテンはウォルフによってほとんど扱われなかった美学の領域に関してウォルフの体系を補完した。後者に属する人々としてはライマールスHermann Samuel Reimarus(1694-1768),M.メンデルスゾーン,J.H.ランバートなどが挙げられる。ランバートはウォルフ的合理論とロック的経験論の融和統一をはかった。また認識の真理性の基準に関して,デカルト的明晰判明性も,数学を外面的に模倣したウォルフ的論証法も不十分であることを指摘し,カント的認識批判への方向を示唆した。
執筆者:増永 洋三
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報