リッベントロップ(読み)りっべんとろっぷ(英語表記)Joachim von Ribbentrop

日本大百科全書(ニッポニカ) 「リッベントロップ」の意味・わかりやすい解説

リッベントロップ
りっべんとろっぷ
Joachim von Ribbentrop
(1893―1946)

ナチス・ドイツの外交官軍人の子。イギリス、フランス、カナダなどに在住ののち、第一次世界大戦に従軍し、戦後ぶどう酒商人として成功、シャンペン醸造元の娘と結婚した。貴族称号は叔母との養子縁組により得る。1932年ナチス党に入り、ヒトラー政権成立の際、舞台裏で少なからぬ役割を演じた。彼は自ら「ヒトラーの外交政策顧問」と称し、政権成立後「リッベントロップ機関」を設け、外務省を無視して活動し、1935年英独海軍協定を成立させた。1936年駐英大使、1938年ノイラートにかわり外相となった。元来ヒトラーとは反共産主義で結び付いた英独妥協論者であったが、このころ反英路線に転じ、1939年独ソ不可侵条約を結び、第二次世界大戦の勃発(ぼっぱつ)をみると日本との軍事的連携を強め、1940年日独伊三国同盟を成立させた。戦争中、彼の政治的影響力は急速に失われた。戦後ニュルンベルク国際軍事裁判で絞首刑になった。

[吉田輝夫]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「リッベントロップ」の意味・わかりやすい解説

リッベントロップ
Ribbentrop, Joachim von

[生]1893.4.30. ウェーゼル
[没]1946.10.16. ニュルンベルク
ナチス党の幹部。軍人の子として生れ,ドイツ,フランス,スイス,イギリスで学んだ。第1次世界大戦後,酒類販売業を営み,シャンペン王ヘンケルの娘と結婚。 32年 A.ヒトラーに会いナチスに入党。ヒトラーの外交顧問として 35年6月には英独海軍協定締結。 36年8月からイギリス大使として対英関係改善に努めたが高圧的な態度が嫌われ失敗した。同年日本と防共協定を締結。 38~45年外相に就任。 38年イタリアと「鉄の盟約」を,39年8月 23日モスクワに行き,独ソ不可侵条約を結んだ。第2次世界大戦中はあまり重要視されず,45年4月逃亡しようとしたが7月イギリス軍にハンブルクで逮捕され,ニュルンベルク裁判死刑判決を受け処刑された。

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