日本大百科全書(ニッポニカ) 「リン化物」の意味・わかりやすい解説
リン化物
りんかぶつ
phosphide
金属元素またはホウ素、ヒ素とリンの二元化合物。単体間の直接反応か、他のリン化物を熱分解してリンを放出させてリン化物をつくる。アルカリ金属やアルカリ土類金属のリン化物(Na3P,Ca3P2など)は、水または希酸によって加水分解してホスフィンPH3を発生する。遷移金属のリン化物は外観が金属状で硬く、加水分解しにくい。また、高融点で熱、電気の伝導性がある。組成が多様で、一般に結晶構造も複雑である。鉄にはFe3P(強磁性),Fe2P,FeP,FeP2が知られる。第13族元素とはMP型のリン化物をつくる。いずれも閃亜鉛(せんあえん)鉱型構造で半導体の性質を示す。ガリウム、インジウムのリン化物は発光ダイオード、レーザーなどに用いられる。
[守永健一]