リー・シェンロン(読み)りーしぇんろん(その他表記)Lee Hsien Loong

日本大百科全書(ニッポニカ) 「リー・シェンロン」の意味・わかりやすい解説

リー・シェンロン
りーしぇんろん
Lee Hsien Loong
(1952― )

シンガポールの第3代首相、政治家。初代首相リークアンユー長男ナショナル・ジュニア・カレッジを経て1971年にシンガポール国軍入隊。大統領奨学金と国軍海外奨学金を得てイギリスのケンブリッジ大学トリニティ・カレッジで学び、1974年に卒業。帰国後は国軍幹部として活躍しつつ、1978年にはアメリカ陸軍指揮幕僚大学で学び、1980年にはアメリカのハーバード大学ケネディスクールで行政学修士号を取得。1983年には史上最年少で准将に昇進する。

 1984年に国軍を退役し、同年の国会総選挙で初当選して、通商・国防担当国務相(次官級)に就任。1985年に政府経済委員会委員長、1986年に通産相代行、1987年に通産相兼第二国防相に就任。1990年のゴー・チョクトンGoh Chok Tong(1941― )内閣成立に伴い副首相に就任し、2001年には財務相を兼任する。

 2004年、第3代首相に就任して既存政治の延長線上で安定した政権運営を行うが、2011年国会総選挙では一党絶対優位体制を支えてきた与党「人民行動党」(PAP)の得票率が建国以来最低となる。このため2010年代を通じて、父親のつくりあげた国家発展を最優先させる統治モデルの修正に着手し、より民意を重視した政治への転換を図る。2024年にローレンス・ウォンLawrence Wong(1972― )を後継者として首相職を退任し、後見役である上級相に就任した。

[久末亮一 2025年6月17日]

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現代外国人名録2016 「リー・シェンロン」の解説

リー・シェンロン
李 顕龍
Lee Hsien Loong

職業・肩書
政治家 シンガポール首相

国籍
シンガポール

生年月日
1952年2月10日

学歴
ケンブリッジ大学トリニティ・カレッジ(コンピューター科学)〔1974年〕卒,ハーバード大学行政大学院〔1980年〕修士課程修了

経歴
リー・クアンユー初代首相の長男。1971年シンガポール軍に入り29歳で大佐。軍からハーバード大学に留学。帰国後、最年少で陸軍参謀総長。’84年に准将で退役。同年末の総選挙で国会議員に当選。’85〜86年通産・国防担当国務相(閣外相)。’86年人民行動党(PAP)中央委員に選出。’86年1月〜’92年12月通産相。’90年11月〜2004年副首相。1993〜95年財政相・国防相兼任。’98年1月通貨庁(MAS)会長を兼任し、保守的だった金融行政の大転換に成功。2001年11月財務相を兼任。2004年8月首相に就任、財務相兼任。2006年5月総選挙で大勝し、首相2期目。英語、中国語、マレー語に堪能。

出典 日外アソシエーツ「現代外国人名録2016」現代外国人名録2016について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「リー・シェンロン」の意味・わかりやすい解説

リー・シェンロン
Lee Hsien Loong

[生]1952.2.10. シンガポール
シンガポールの政治家。首相(在任 2004~ )。中国語名は李顯龍。初代首相リー・クアンユーの息子として生まれた。イギリスのケンブリッジ大学トリニティ・カレッジで数学を専攻し,1974年に首席で卒業,1980年アメリカ合衆国のハーバード大学ケネディスクールで行政学修士号を取得。国軍に入隊し,1984年准将の地位で退役,父が創設した与党の人民行動党に入党し,政治家の道を歩み始めた。同 1984年国会議員に初当選すると貿易産業担当国務大臣兼国防担当国務大臣に任命された。1987年貿易産業大臣兼第二国防大臣に就任。1990年に父の後継者ゴー・チョクトンが首相の座につくと,副首相に指名された。1990年代初めにリンパ腫を発病したが,症状が安定すると精力的に政治活動を再開,1998~2004年通貨監督庁議長を兼任,2001年に財務大臣に就任する。2004年ゴーの辞任をうけ首相に就任し,2007年まで財務大臣を兼務した。首相職の委譲は計画的なもので,選挙なく実施された。父のリー・クアンユーは新設職である内閣顧問に就任,ゴーは上級大臣として閣内にとどまった。

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