改訂新版 世界大百科事典 「ルメルシエ」の意味・わかりやすい解説
ルメルシエ
Jacques Lemercier
生没年:1582-1654
フランスの建築家。ポントアーズの建築家一家の出身。作風は古典主義的傾向を示す。イタリアで修業した後,パリで数々の大造営事業にかかわるようになる。ルイ13世の命によりルーブル宮殿の増築を手がけ,カリアティード(女人柱)で名高い時計の楼館(1641)などを実現した。またリシュリュー枢機卿との関係が深く,彼の館パレ・ロアイヤル(1624-36),彼の寄進になるソルボンヌの礼拝堂(1626-42)などを設計し,さらにトゥール南西方のリシュリューRichelieuに彼のための城館と都市を建設。とりわけリシュリューの新都市の建設は,街路線の規定や整然とした地割,標準設計による住宅とその分譲など,新しい時代の都市開発を告げる先駆例となった。
執筆者:三宅 理一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報