レシーバー制度(読み)レシーバーせいど(その他表記)receivership

翻訳|receivership

改訂新版 世界大百科事典 「レシーバー制度」の意味・わかりやすい解説

レシーバー制度 (レシーバーせいど)
receivership

イギリス法において衡平法エクイティ)裁判所が判例法を通じて発達させた財産管理人レシーバー)制度。財産を管理し,収益地代など)を収受receiveすることに由来する名称である。今日ではアメリカをはじめ英米法系の諸国でひろく用いられ,制定法によって規定されているレシーバーも多い。レシーバーと呼ばれるものが置かれる場合は種々あるが,多くは必要に応じて裁判所によって任命され,一定の目的のために財産を管理する。たとえば,訴訟係属中に係争財産をレシーバーに保管・管理させたり,また,未成年者や死者の財産管理のためのレシーバー,担保権モーゲージ)の実行のためのレシーバー,事業の解散倒産処理に伴って任命されるレシーバー等がある。日本の会社更生法における保全管理人にあたるものもレシーバーと呼ばれていた。もともと,日本の会社更生法の母法たるアメリカ破産法旧第10章は倒産処理のためのレシーバー制度を制定法によって整備拡充して作られたものである。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「レシーバー制度」の意味・わかりやすい解説

レシーバー制度
れしーばーせいど
receivership

アメリカの会社更生制度。株式会社が経営困難に陥った際、破産手続をとると、資産は低い価格で処分され、無形資産は消滅して、株主・債権者等の利害関係者は大きな損失を受ける。もし再建見込みがあるときは、破産を回避し、営業を続けながら整理するほうが利害関係者にとって得策である。このような場合、利害関係人の申立てによって裁判所は1人または数人のレシーバー(財産管理人)を任命する。レシーバーは、会社の経営を続けながら債権債務を整理し、賃貸借や売買の契約を更改し、必要な追加資本を調達して再建に努めるとともに、再建計画とその可能性を裁判所に報告する任務を負う。

[森本三男]

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