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衡平法 こうへいほうequity

翻訳|equity

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

衡平法
こうへいほう
equity

イギリスの大法官裁判所で発達した法原則ならびに法救済。現在ではイギリスにおいてもアメリカにおいてもコモン・ローと同等に執行されている。 13世紀末になると数多くのコモン・ローの法原則のなかには,あまりにも技術的になりすぎたものがあり,イギリスのコモン・ロー裁判所では裁判を行えないような事態が生じてきた。裁判所で満足な解決を得られない当事者は国王と councilに解決を求めた。このような場合,「国王の良心の保持者」としての大法官に請願するのが慣行になっていたからである。このため 14世紀と 15世紀の間に大法官はコモン・ローでは十分な解決を得られない事件に対処するための裁判所を築いた (→エルズミア ) 。コモン・ロー裁判官とは異なって,大法官は厳格な法原則よりも主として道義的衡平に依拠した。大法官はコモン・ロー裁判官のような先例に拘束されることがなかった。大法官は適当と思う裁判を行う広い権限をもち,手続上の形式にあまり拘束されなかった。 17世紀の中頃までにはこのようにしてつくり上げられた衡平法はイギリス法の一部として認められるようになった。

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世界大百科事典 第2版の解説

こうへいほう【衡平法 equity】

英米法系で,厳格法たる普通法,コモン・ローと対比され,もともとは衡平・正義感を基準にしてのコモン・ローの補正原理であったものが,判例法として凝固してでき上がった法の総称。すなわち衡平法とは,厳格で形式的・一般的な法に対して,個々の事件のもつ特殊性を重視し,普遍性のゆえに不完全となりうる法を具体的に補正する原理であったエクイティ(衡平)が,イギリスにおいては特殊な歴史的理由から,法をつかさどる裁判所すなわち各種のコモン・ロー裁判所とは別の裁判組織で体系的につかさどられるうちに漸次固定化・組織化され,コモン・ローとは別ではあるが同じような一種の実定的な判例法になってきたものを呼ぶのである。

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世界大百科事典内の衡平法の言及

【衡平】より

…具体的現実からのフィード・バックによる既存の類型化基準の精緻化・改良が衡平の真のねらいであり,それは正義の普遍主義的要請をむしろ前提している。アリストテレスが法的正義の補正原理としての衡平を,ある〈種〉の正義よりも優れているが,正義という〈類〉を超えないとしたことや,イギリスで,硬直したコモン・ローの個別的補正として始まった衡平法が,確立された一般的準則の体系に発展していった歴史的経緯も,この点を確証している。なお国際司法裁判所規程38条2項によれば,当事者の合意によって,〈衡平と善〉に基づいて裁判ができるとある。…

【コモン・ロー】より

…この代表的なものが,国王評議会の有力成員である大法官Chancellorが担ったコモン・ローの補正としての衡平(法)および大法官府裁判所の起源である。後にはこの判決例も漸次集積し,コモン・ローとは別体系の一種の法,すなわち衡平法を形成するに至った(15世紀以後)。このような新裁判所および新しい法の生成の動きに,今までコモン・ローおよびコモン・ロー裁判所に寄生し,むしろ現実に見合った形の改革をその職業上の利益から妨げてきたコモン・ロー法曹が,みずからの職業を脅かされて重い腰を持ち上げ,改革に乗り出す(16世紀以後)。…

※「衡平法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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