レルシュ(読み)れるしゅ(英語表記)Heinrich Lersch

日本大百科全書(ニッポニカ) 「レルシュ」の意味・わかりやすい解説

レルシュ
れるしゅ
Heinrich Lersch
(1889―1936)

ドイツの詩人。父の仕事を受け継ぎ鍋釜(なべかま)製造工。徒弟として西部および南部ヨーロッパを旅行する。1914年第一次世界大戦に志願兵として従軍、「われら死すともドイツは生きよ」のリフレインをもつ詩『兵士別離』で有名になる。このころの詩集に『ハートよ、その血をたぎらせよ』(1916)、『ドイツ!国民と祖国の歌』(1918)がある。大戦後は労働運動に身を投じ、詩集『鉄の中の人間』(1925)を発表、労働者詩人とよばれるプチブル作家の1人となった。詩のスタイルのうえでは表現主義からの影響がみられ、「われドイツを信ず、神を信ずるごとく」など、政治・社会的規定のない美辞麗句のうらみがあり、社会主義的詩の発展には寄与しなかった。ほかに小説『鎚(つち)のひびき』(1930)、『機械の鼓動』など。

[横田ちゑ]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「レルシュ」の意味・わかりやすい解説

レルシュ
Lersch, Heinrich

[生]1889.9.12. メンヒェングラトバハ
[没]1936.6.18. レマーゲン
ドイツの詩人。オランダイタリアスイスを職人として遍歴。荒廃した生活ののち,故郷鍛冶屋となる。第1次世界大戦中『兵士の別離』 Soldatenabschied (1914) を発表,一躍知られた。詩集『鉄のなかの人間』 Mensch im Eisen (25) などで非人間的労働の苦痛を痛切に歌ったが,他面で民族的情熱が強く,ついに革命詩人にはなりきれず,後年ナチズムへ傾斜した。

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